2023 Fiscal Year Research-status Report
水産養殖事業のグローバル化が海洋生物の人為的移動を引き起こす実態の解明ー環形動物
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23K05349
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大越 和加 東北大学, 農学研究科, 教授 (20233083)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 非意図的移入種 / 人為的攪乱 / 環形動物 / スピオ科多毛類 / 水産養殖 / polydorids |
Outline of Annual Research Achievements |
水産業に関わるスピオ科多毛類、特に貝類養殖の輸出入に伴い本来生息しない海域へ移動し侵略的外来種として報告されている Polydorids の現状把握、種の確定、侵蝕状況、生態学的知見について調査研究を行った。 7月にInternational Polychaete Conference が南アフリカ、ステレンボッシュで開催され、大会において日本のスピオ科多毛類についての研究発表を行った。また、南部のマッセル湾に調査に行き、イガイ貝殻に穿孔する種群を見つけた。 9月に北海道東部、厚岸湾、網走湾、能取湖に生息する天然と増養殖貝類に生息するスピオ科多毛類の種、侵蝕状況の結果について、遺伝子解析の結果を加えて日本水産学会秋季大会において発表し、議論した。 フランスノルマンディーはカキ養殖が盛んに行われているが、そのカキの貝殻に生息している多毛類について未だ研究されていない東部でのフィールド調査を10月に行った。養殖貝類のみならず、天然の貝類の貝殻に生息する種について調べた。その結果、沿岸に固着するマガキ貝殻に生息する種群、石灰岩に生息する種群を発見し、形態学的、生態学的、分子生物学的解析を行った。同時に、西部の養殖マガキに生息する種群についても採集し、比較検討した。また、Coast Caen、日仏海洋学会シンポジウムがフランス、カーンで開催され、水産業で問題となる種群についての研究成果を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国外、国内共にフィールド調査をほぼ行うことができたため、順調に目的とするサンプルを採集することができた。また、解析結果についてもおおむね学会や大会で公表することができた。遺伝子解析については解析できていない領域が残っているため継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
国外、国内の貝類養殖にとって負の影響を与えているスピオ科多毛類の種群がどのような経路で本来生息していない海域に運ばれそこで繁殖しているのかについて明らかにするため、問題となっている種ごとに世界各海域の個体群を分子生物学的手法を用いて解析し、追跡を行う。
同時に、種ごとに分布、発生様式、寿命等、生物学的特徴についての基礎研究を継続する。 また、種により形態学的多様性、遺伝学的多様性が高いものと低いものが見られるが、その特徴を明らかにし、原因について議論する。
成果発表の機会を増やして得られた結果の公表を継続し、かつ、他の研究者と議論する。
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Causes of Carryover |
予定していた海域の調査が一部行われなかったため、次年度に行う予定。 今後見込まれるサンプルの遺伝子解析費に使用する予定。
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