2023 Fiscal Year Research-status Report
Econometric analysis of technology adoption and utilization in dairy farming
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23K05408
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Research Institution | Policy Research Institute, Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries |
Principal Investigator |
村上 智明 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (60748523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 赳 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30756599)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 技術導入 / 生産性 / 酪農 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はまず北海道の3地域を対象に、ロシアによるウクライナ侵攻後の資材価格高騰とコロナパンデミック後の需要縮減に伴う生産調整の影響についてヒアリングを行った。ヒアリングの結果からは、資材・飼料価格高騰の影響は酪農経営の生産に影響を与えているものの、制度的な支援もあって大規模な退出という状況には至っていない現状を把握することはできた。一方で、生産調整の影響は特にクラスター事業等を利用して自動搾乳機等の省力化技術に大規模な投資を行った経営に対して、資本投資に対応する増頭に制約がかかったことで影響が出ている現状も把握することができた。 パネルデータを構築するための1期目のデータとして取得済みの2020年度データについてフロンティア分析を行い、全体の生産効率性を評価するとともに搾乳ロボットの導入経営の生産効率性の評価の試算を行った。分析の結果からは平均の規模に関する収穫可変の効率性は0.81程度と比較的高く、経営間の効率性格差は比較的小さい状態にあることが秋r化となった。搾乳ロボットを導入している経営の平均効率性は0.83程度と平均的な経営よりも高いことも明らかになった。ただし、ロボット搾乳に関しては多額の投資ということもあり、元々生産技術の高かったり、年齢も比較的若い経営での導入が進んでいることから、必ずしもロボット導入が生産効率を高めているということはできないため、パネルデータ等によるより詳細な解析が必要である。搾乳ロボットの効率性の現状評価のために、回帰スムージング法によりロボット導入経営の規模ごとの効率性評価を行ったところ、およそ搾乳頭数150頭となる農業収入2億円程度の経営までは平均的な経営よりもロボット経営の方が効率性が低い結果となっており、特に規模の比較的小さい層での効率性に課題を抱えていることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
事前に取得しているデータの解析が今年度の中心であったこともあり、比較的順調に分析自体は出来ている。ただし、ヒアリング調査では近年の牛乳の生産抑制の影響が大きく出る可能性も見えてきており、現在の経済環境の影響が分析結果にどのような影響を与えるのかについては注視する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
既に取得したデータのより詳細な解析を進めるとともに、次年度以降のパネルデータを取得するための準備を進める。 技術導入の効果については現時点では搾乳ロボット中心だが、ゲノム解析等の新技術の影響についても分析の枠組みに含められないか検討を進める。
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Causes of Carryover |
調査対象の都合もあり、現地調査の回数が減少した。 今年度はその分調査回数を増加させる。
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