2023 Fiscal Year Research-status Report
ローカルな食の循環型経済による環境と経済の両立にむけた実証的研究
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23K05424
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
池島 祥文 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (20607923)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 環境負荷 / 食の循環型経済 / サーキュラーエコノミー / 地域経済循環 / 地産地消 |
Outline of Annual Research Achievements |
ローカルな食の循環型経済による環境と経済の両立に関する研究を進めるために、2023年度は、以下の取り組みを行った。
第一に、循環型経済の先進地とされるオランダ・アムステルダムでの各種取り組みをもとに、ローカルな食や地域農業に焦点をあてて、循環の具体的内実を整理しながら、循環性を測定するために必要な視点を整理した。また、食や農業が直面する環境面の課題について、温室効果ガス排出を中心に整理するとともに、そこから地域で実践可能な環境保全対策を抽出する作業を進めた。その結果、生産前段階(資材生産)、生産段階、生産後段階(加工、流通)において、生産段階で一番大きな環境負荷が生じているという先行研究の成果が確認された。しかし、農産物生産において生産段階は回避することできないため、対象範囲の選定をどのようにすべきかという課題が発生した。 第二に、食の循環経路のうち、先行研究でも取り上げられていない食料小売店舗から消費地までの最終段階に対する輸送・移動を対象に、農産物を目的として小売店舗を訪れる消費者への調査を実施し、買物における移動手段や位置情報を含むFromToデータの収集を進めた。こうしたデータから流通から消費までのネットワークデータを作成した。 第三に、以前の科研費課題での成果を活用して、企業間取引データを用いた地域経済への経済波及過程を示すデータセットの構築、および、データ解析から、対象企業の取引構造に伴う地域内への支出額を測定した。対象企業は連鎖的な取引のうち、より上位の階層において地域企業との取引があると地域内への支出額が増える傾向にある点が見出された。こうした取引の連鎖関係をもとに、災害復興時における被災地産業の取引数の変化を検討する際にも応用した。取引連鎖が広範にわたるサプライチェーン型と比較的限定的な地域産業型とを比較し、サプライチェーン型のほうが回復しやすい点が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
食の循環型経済における環境負荷に関するデータ収集が想定以上に難航したため、研究計画としては遅れている。その要因としては、分析対象にしようとしていた地域での食、地域農業において、そのデータ収集すべき対象範囲が広く、具体的な対象の選定に時間がかかったことやデータ収集のための調査設計に試行錯誤が必要だったことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
食の循環型経済を分析するに際して、計画当初は地域で生産される農産物とその加工品を対象として想定していたが、生産面での環境負荷が大きいとしても、生産を回避することはできないこともあり、分析対象を生産後段階、とくに、消費者の買物段階に伴う移動・輸送面に焦点をあてて試行する予定である。 また、同時に、食品ロスのような消費面での対策が循環型経済にも大きく影響する点を踏まえ、食品ロスも対象に含められるか検討する。収集した調査データをそのまま環境負荷測定に活用できない可能性も視野にいれて、データ収集・解析を試行的に進め、最適な対応を整理できるように試みる。
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Causes of Carryover |
2022年度終了予定の科研費課題について、コロナウィルス感染拡大の影響を考慮して、2023年度も研究期間を延長したが、以前の科研費課題と本科研費課題とは連動していることもあり、本科研費課題の予算執行分が節約できた点による。
次年度使用計画としては、所属機関でのサバティカル期間を利用して、海外先進地での情報収集を進める予定であり、その際の渡航費や滞在費にて支出する。
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