2023 Fiscal Year Research-status Report
Construction of the fruit production area theory corresponding to socio-economic structural changes
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23K05426
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
徳田 博美 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20346000)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 果樹産地 / 産地組織 / 農協共販 |
Outline of Annual Research Achievements |
果樹産地の農業構造変動の現状を確認するため,農業センサスで主要な柑橘産地を対象に農業構造分析を行った。そこで明らかになった点は,①いずれの産地も農業経営体が大幅に減少している,②大規模経営体の形成は微弱であるが,従来の優等産地とされていた産地では大規模経営体の形成がある程度みられ,瀬戸内島しょ部の産地ではほとんどみられず,平均経営耕地面積が減少している産地もある,③個別経営体では経営耕地面積が大きくなるほど,二世代家族経営の比率が高まっており,家族労働力が充実していることが中核的な担い手の重要な要件となっていることが示唆されている,④雇用労働力も経営耕地面積が大きくなるほど増加しているが,産地の衰退が顕著な瀬戸内島しょ部では経営面積が大きくなっても雇用労働力の増加はみられない,などである。 産地の衰退が顕著な瀬戸内島しょ部の柑橘産地の中で,広島県呉市大長と愛媛県松山市中島で現地調査を行った。大長では,これまで規模拡大があまり進展せず,後継者が確保できない中で,農業者の高齢化により農家の減少と荒廃果樹園の拡大が加速しているが,中島では獣害の深刻化で山間部の果樹園が放棄される一方で,平坦部の果樹園で施設化も図りながら,高単価の品目に転換することで収益の確保が図られていた。厳しい産地条件の中でも,産地の特性に応じた産地展開が図られている場合があることが確認できた。 青森県津軽地域のリンゴ産地では,新たな樹形を導入し,大規模経営の形成を目指している農外参入企業のヒヤリング調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
農業センサス分析では,現段階の柑橘産地の農業構造を確認でき,実態調査に向けた準備作業として,果樹農業構造の現状や産地の位置づけを整理できた。果樹産地の実態調査の実施はやや遅れているが,次年度に実施すれば問題ない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,愛媛県松山市中島の農家調査を実施するとともに,本研究の主要な調査対象地である静岡県浜松市三ケ日,愛媛県八幡浜市,青森県弘前市での実態調査を実施し,産地の社会経済条件,市場条件に応じた産地システムの基本的枠組みを構築する。
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Causes of Carryover |
予定していた果樹産地の実態調査が調査先との日程調整によって次年度にずれ込んだためで,次年度に実施する予定である。
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