2023 Fiscal Year Research-status Report
Establishment Process of Diverse Rice Cultivation Calendars Applying Failure Experience Learning Model for Climate Resilient Crop Production
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23K05463
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小寺 昭彦 茨城大学, 地球・地域環境共創機構, 講師 (10435589)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 気候変動適応 / 作付暦 / 失敗学 / レジリエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はアジア各地域の稲作における多様な作付暦の成立過程と気候レジリエンスについて環境変化への適応行動と失敗の観点から明らかにすることである。令和5年度は研究計画のうち、作付暦と作付失敗に関する事例収集と因果関係の検証をメコンデルタ沿岸地域で進めた。作付暦に関してはMODIS時系列衛星画像を解析して過去20年間の作付暦マップを作成し、そこから特徴的な作付暦の変化を抽出した。また衛星画像解析結果の検証および作付けの失敗事例を収集するためメコンデルタの沿岸部に位置するベトナム・ソクチャン省にて現地調査を実施した。 この地域の稲作は塩水遡上の影響を強く受け、作付暦は塩水遡上の発生期間を避けるように発展してきた。近年は水門の整備により農地や水路への塩水侵入が緩和され、栽培可能期間が長くなったことで作付暦も作付回数が増加するように変化した。Tran De県では2001年から2003年にかけて3期作農地が拡大したが、2004年に塩水遡上の時期が早まり栽培時期と重なったため壊滅的な被害を受けた。その失敗の経験を踏まえ以降はその時期を避けた2期作の作付暦に再び戻すようになった。しかしその後は大規模な塩水遡上もなく、数年後には再び3期作が行われるようになっている。また最近では同県の一部の地域において新たな被害が頻発していることが観察された。直接的な塩害ではなく、塩水遡上の影響で灌漑が行えないため水田は一時的な干ばつ状態となる。さらにこの干ばつ被害が広がった原因として、気候の変化で以前よりも干ばつの進行が急激になっている可能性があることが聞き取りから示唆された。今後はその検証と対する農家の適応行動を作付暦の変化を通して検証していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の研究計画の内、計画していた全ての現地調査を実施することができなかったため来年度の継続課題となる。
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Strategy for Future Research Activity |
R6年度は当初計画通り、現地事例収集調査と衛星画像解析を引き続き実施するとともに、作付け暦モデルの構築を着手する計画である。
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Causes of Carryover |
今年度の研究計画の内、計画していた全ての現地調査を実施することができず一部を次年度に実施することになったため。
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