2023 Fiscal Year Research-status Report
温室生産でのシソ葉の機能性成分の高濃度化が可能な動的UV-B照射技術の開発
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23K05464
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉田 英生 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 助教 (40729852)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 温室 / 環境ストレス / 紫外線 / 機能性物質 / ファイトケミカル |
Outline of Annual Research Achievements |
シソの群落への動的照射を行うにあたり、アカジソを用いて葉1枚あたり、葉位別に1日の必要なUV-B照射量について検討を行った。試験は、夏場の照射を想定して16時間の明期、8時間の暗期に設定した人工気象室内で行った。UV-B照射の強度は既報より6W/m2とし、明期中、もしくは暗期中に照射時間を変えて3日間の照射を行った。その結果、十分なロズマリン酸(RA)濃度の増加効果を得ることのできる必要照射時間が明らかとなり、動的照射を行う際は必要照射時間を元にして1日の中での配光を調節することが求められることが示された。必要な照射時間を下回ると無照射と同程度のRA濃度となるため、確実に必要な強度と照射時間を確保できるような光源の動きを次年度以降に検討する。照射の時間帯は明期の開始よりも後半の方が、RAの蓄積が増える傾向が示された。これは、光合成産物の葉の蓄積と関係していると考えられる。さらに、暗期中の照射は明期中の照射に比べて植物体への影響が大きく、葉の緑色化が顕著であった。そのため、温室での照射は、なるべく日中に行った方が良いと考えられるが、日長の短い冬季は照射可能な時間帯が短くなるため一つの光源でカバーできる照射面積が小さくなると考えられる。したがって、夜間でも照射が行えるように、可視光と同時に照射するなどの工夫も必要であると考えられた。以上より、RA濃度を増加させるのに最低限必要なUV-Bの照射時間が明らかとなり、明期中の照射時間であれば植物に対するダメージもほとんどなく、安定したUV-B照射が可能であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動的照射の基本動作を決める、必要照射時間の決定を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度明らかとなった照射時間の条件を元に、光源の配光分布に合わせた動作パターンの確立を行う。
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Causes of Carryover |
成分分析に用いているHPLCの消耗品の購入を予定していたが、今年度は想定よりも消耗が少なかったため、次年度使用額が生じた。次年度以降にカラムなどのHPLCの消耗品の交換を予定している。
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