2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of tree and log strength estimation model: Optimizing wood distribution based on strength information
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23K05470
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
長島 啓子 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (40582987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神代 圭輔 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00548448)
中澤 昌彦 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90455262)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 立木強度 / 原木強度 / 採材位置 / UAVレーザ測量 / RFタグ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではレーザ測量やRFタグなどのIoTを用いて(1)立木強度から原木強度を予測する原木強度予測モデルの構築と検証、(2)立木強度を左右する要因の把握と立木強度予測モデルの構築を行うことを目的としている。 初年度の本年はまずスギ林の間伐地において、間伐前調査としてUAVレーザ測量及び地上レーザ測量を実施し、立木の位置図を作成した。現地では全立木を対象に立木番号の記載、直径と樹高の測定、応力波測定器(FAKOPP)による立木の強度調査を実施した。さらに立木にRFタグを試験的に取り付け、林内にてRFタグの読み取りの検証も行ったが、林内ではタグ情報が読み取れなかったことから、立木に用いるタグのあり方についてさらに検討が必要と考えられた。間伐時調査では、伐採前の立木と得られた原木を紐付けできるよう、伐採時に伐採された原木の木口に立木番号と採材位置(1-6番玉)の記載を行った。その上で、原木強度を簡易型原木強度測定器HG-2020用いて測定を行い、原木の木口にRFタグを貼付した。 目的(1)では、得られた立木強度と原木強度との関係を採材位置も考慮して整理を行った。その結果、立木の強度と原木の一番玉の強度との間には相関が見られた。また原木の強度は、立木の採材位置に関係なくE70と一定であったものが40%、一番玉がE70と弱く二番玉以上がE90と強くなるものが47%、一番玉がE90で二番玉以上がE70となったものが14%と、3つのパターンに分類された。目的(2)では、UAVレーザ測量データを用いてスギの立木強度と凹凸地形、樹冠情報、実測した胸高直径・樹高との関係解析を行った。その結果、立木強度は胸高直径及び立木の点群の高さ別の点群数の平均値と強い関係が示された。凹凸地形との関係は見出されなかったことから、堆積様式等ほかの立地環境要因との関係を検証する必要があると言えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の本年は、間伐前調査及び間伐時調査の実施を行うとともに、目的(1)に関わり立木強度と原木強度の関係把握の解析を開始すること、目的(2)では立木強度と本数密度・立地環境・形状との関係把握の解析を開始することを予定としていた。研究実績の概要に記載した通り、間伐前調査及び間伐時調査について予定通り実施・終了することができている。また、目的(1)においては、立木から得られた原木の強度等級を採材位置も踏まえて比較したところ、一番玉が最も強度等級が低く、2番玉以上の原木の等級が1等級高い等の今後の解析に向けたデータの傾向把握を開始することができている。目的(2)についても凹凸地形と樹冠情報との立木強度の関係解析を開始できている。以上のことから、当初の計画どおりに研究が実施できており、順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
目的(1)では本年度見られた原木の採材位置別の原木強度と立木強度との間に主に3つのパターンが見られることから、立木強度から原木強度を予測する原木強度予測モデルの構築に繋げるには、これらのパターンを左右する要因を検討する必要があると言える。これらの要因として立木の直径や樹高との関係からも検討を行う。また、立木の強度は年輪の詰まり具合と関係があることがわかっていることから、目的(2)では立地環境としてこれまでの成長との関係が見られた堆積様式や傾斜等と強度の関係把握を行うとともに、レーザ測量で得られた点群から成長特性を表すような指標を開発できないか、検討をしていきたい。
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Causes of Carryover |
間伐前調査、間伐後調査が順調に進み、当初予定よりも旅費の拠出額が少なくて済んだため、残額が生じた。残額については、2023年度の課題として挙げられたタグのあり方の検討等で、つくば市から京都市に移動するための旅費として使用する予定である。
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