2023 Fiscal Year Research-status Report
Exploration of biological components that bring about salt tolerance in Zoysia spp.
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23K05492
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
山本 昭洋 宮崎大学, 農学部, 准教授 (30452915)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | シバ / 塩類集積土壌 / 耐塩性 / 遺伝資源 / 沙漠化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでシバの耐塩性機構は塩類腺からの塩排出量に規定されるとされていたが、研究代表者らは塩排出以外の複数の要因も耐塩性に関与する可能性を報告した。本研究では、シバ遺伝資源を用いて、適合溶質を網羅的に分析することによりシバの耐塩性機構解明を目指す。また、シバ種間で異なるバイオマス生産能力や土壌被覆能力の違いが塩類集積土壌の改善に与える影響を調べ、現地での実証実験に資する知見を得ることを目的に行っている。 シバの耐塩性機構について、ストレス環境下で機能するとされる適合溶質を分析した。供試したシバ属は3種(Zoysia japonica, Zoysia matrella, Zoysia pacifica)でそれぞれ1系統を用いた。プロリンは塩ストレスの強さだけでなく処理期間により蓄積の程度が異なることがわかった。塩ストレス環境下で機能するとされるポリアミンは、塩ストレスにより変動したが、耐塩性に与える影響については追試験が必要と思われた。無機元素、特にNaについてはこれまでの研究結果と同様であった。 シバの土壌からの塩類収奪量や土壌の被覆能力についての試験については、個体の塩収奪量、バイオマスの大きさ、種間の耐塩性の強さ、シバの1次特性である土壌の被覆能力(被度)について解析を進め、これまでの研究結果とあわせて、実験系に問題ないことが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
適合溶質の分析については、解析済の物質は少ない。一方、シバの土壌からの塩類収奪量や土壌の被覆能力についての実験は、予定よりも実験項目を多く実施でき、データ収集も進んだ。 現在のところ順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
適合溶質の分析については、分析が遅れている物質の解析を進める。シバの土壌からの塩類収奪量や土壌の被覆能力については、複数個体による収奪や根系の発達などより詳細なデータを得られる実験系を確立する。芝草遺伝資源の収集については、秋期にエジプトを訪問し、現地研究者と進める。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた精密天秤の価格が値上がりしたため代替品の選定に時間を要した点と分析機器使用料が当初の想定よりもかからなかった(学内取り決めで科研費支払い不可の期間があったため)ため次年度使用額が生じた。 使用計画としては、精密天秤の選定(価格によっては見送る)と円安、燃料費高騰で海外旅費が当初の想定よりも費用がかかる予定のためそちらを含めて使用する予定である。
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