2023 Fiscal Year Research-status Report
中枢のストレス応答MAPキナーゼがニワトリの食欲調節に及ぼす影響
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23K05506
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
實安 隆興 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (20721236)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ニワトリ / 食欲調節 / p38MAPK / JNK / 視床下部 / 延髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ニワトリの中枢におけるp38 mitogen-activated protein kinase(p38MAPK)やc-Jun N-terminal kinase(JNK)が食欲調節に関与しているか明らかにするための一環として、それらの活性化剤や阻害剤の中枢投与がニワトリの摂食量に及ぼす影響を調べる。その予備検討して、p38MAPKやJNKの活性化剤や阻害剤の脳室内投与がニワトリの視床下部や延髄におけるp38MAPKやJNKのリン酸化に及ぼす影響を調べた。その結果、ブロイラーへのanisomycin(p38MAPKとJNKの活性化剤)の投与は延髄のp38MAPKのリン酸化を促進したが、Doramapimod(p38MAPKの阻害剤)の投与はp38MAPKのリン酸化に有意な影響を及ぼさなかった。 ニワトリへのanisomycinやDoramapimodの脳室内投与が摂食量に及ぼす影響については、現在再現性を確認中である。 ニワトリの視床下部におけるp38MAPKやJNKが食欲調節に関与し得るか調べる目的で、絶食、及びその後の再給餌が視床下部のp38MAPKやJNKのリン酸化、及びそれらを活性化し得る炎症性サイトカインの遺伝子発現に及ぼす影響を調べた。その結果、視床下部におけるp38MAPK、及びJNKのリン酸化に絶食や再給餌による有意な変化は認められなかった。また、視床下部におけるIL-1βとIL-6の遺伝子発現量にも有意な変化は認められなかったが、視床下部のTNF-αの遺伝子発現量は24時間の絶食により減少し、その後の1時間の再給餌では元のレベルに回復しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Anisomycinの脳室内投与がニワトリの摂食量に及ぼす影響を調べる実験では再現性が確認できておらず、この点は当初の計画より少し遅れているが、p38MAPKやJNKを活性化し得る炎症性サイトカインの遺伝子発現の解析を計画より前倒しで進めている。そのゆえ、全体としてはおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に整備した機器や、学内の共通機器を利用することにより研究を推進する。
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Causes of Carryover |
独立基盤形成支援を交付いただいたため次年度使用額が生じた。研究をさらに推進するため、超音波破砕機などの少額器具を購入する予定である。
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