2023 Fiscal Year Research-status Report
Effect of eating and ruminating behavior on individual variation in enteric methane emission of dairy cows
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23K05507
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小櫃 剛人 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (30194632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 直樹 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (80284230)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | メタン / 乳牛 / 個体差 / 反復率 / 反芻 / ルーメン / 唾液 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、乳牛のメタン排出量の個体差をもたらす原因の一端が反芻家畜に特有な反芻行動や採食パターンなどの個体差と関連があるのではないかという点を明らかにすることを目的としている。本年度の成果は以下のとおりである。 ① 乳牛の採食行動および反芻行動についての繰り返し測定での再現性については、フリーストール牛舎において個体ごとに行動をモニターするセンサー(U-motion)を装着した乳牛のうち、4月から7月まで乳生産を継続した21頭を対象に、1日あたりの反芻時間を測定した。1週間を1期とする測定期を2から3週間おきに5期設け、各期での1日あたり反芻時間の平均値を個体毎に求めた。全期間を通じて基礎飼料の成分組成は同じになるようにしたが、1と2期に比べ3期以降はサイレージの割合が減少し、その分乾草の割合が増加した。また、3期には、一部の供試牛にタンニン製剤を給与した。同一個体での期間での再現性見るために相関解析を行った。反芻時間には、1と2期および4期と5期との間での強い相関関係(r=0.68および0.70)がみられ、1期と5期との間でも有意な相関が認められた。しかし、3期はいずれの期とも有意な相関が認められなかった。3期を除いた反芻時間に関する反復率(repeatability)は0.60で、中程度の値が得られた。 ②反芻行動とメタン排出量との関係については、上記の測定期間のうち、2期および5期に、スニファー法を用いて個体ごとにメタン排出量を推定した。いずれの期も反芻時間とメタン変換係数との間に弱い負の相関(r=-0.46および-0.36, P<0.10)が認められた。相関関係は弱いものの、反芻時間の長いウシではメタン排出効率が低いことが伺えた。 以上のように、反芻時間の違いがメタン排出量に影響する可能性が示唆されたが、その原因を明らかにするにはさらに検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「乳牛個体の採食と反芻の行動パターンの個体差に再現性はあるか?」という点について、年間を通じて5回の行動測定試験を行い解析を進めている。反芻時間の再現性についての解析を終了している。 「乳牛のメタン産生量と行動との間に関連があるか?」という点については、行動測定と同時にメタン排出量の測定をスニファー法で実施してきた。反芻時間とメタン産生形質との相関はそれほど高くはないが、両者には負の相関関係が認められていることを確認できた。 「行動によるメタン産生の変動をもたらす因子は何か?」という点については、唾液を用いたインビトロ培養の予備検討を行っている。現在までのところ、唾液の添加によるインビトロでのメタン産生への影響はみとめられていない。
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Strategy for Future Research Activity |
採食および反芻行動の再現性に関しては、令和6年度も前年度と同様に採食時間と反芻時間の期間間の相関および反復率を指標として解析を進め、データを蓄積する。令和5年度では、嗜好性のよくないタンニンを給与したことで再現性が乱れたことから、飼料や温熱環境などの外部環境要因によって再現性がどのように変化するかについても検討を加える。 採食・反芻行動とメタン排出量との関係については、さらにデータを蓄積して調査を進める。相関解析だけでなく、反芻時間の長短によって乳牛群をクラス分けして、クラス間でのメタン排出量を比較することも行う。 メタン排出量の変動の原因を追究するために、令和6年度では唾液の成分分析や胃内性状の解析を重点的に行う。
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Causes of Carryover |
本年度実施予定としては、唾液の成分分析について、唾液自体の試料採取は行ったが、分析方法に関しては現在検討中であり、購入予定であった試薬代などが次年度使用額として残った。次年度は、唾液の成分分析を行い、そのための試薬購入費にこの額を充てる予定である。
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