2023 Fiscal Year Research-status Report
新規転写因子EGAM1タンパク質群を中心とする新たな胚発生制御機構の包括的理解
Project/Area Number |
23K05510
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
小林 正之 秋田県立大学, 生物資源科学部, 教授 (50211909)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ホメオタンパク質 / マウス / 初期発生 / 細胞分化 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 本研究代表者は、マウス胚より新規転写因子EGAM1ホメオタンパク質群 (3種) を発見した。本研究の目的は、胚発生における当該タンパク質群の本質的な役割と遺伝子発現調節メカニズム、組織形成との関連について具体的な例を示すことにより、胚発生や細胞機能を制御する新たな分子基盤として包括的に理解すること、である。これにより、子宮への胚着床の安定性とその後の流産との関連を追及するための研究基盤を確立する。令和5年度は次に示した成果を得た。
2. 当該タンパク質群と組織形成との関連について、EGAM1ホメオタンパク質強制発現マウスES細胞を用いたin vitro胎盤形成モデル系を構築することにより解明する。:R4年度までの研究成果により,当該タンパク質群強制発現ES細胞より得た分化転換TS細胞について,胎盤構成細胞への分化能を検証した。その結果,栄養膜巨細胞,海綿状栄養膜細胞,迷路層栄養膜細胞のマーカー遺伝子の発現が大きく誘導されることが判明している。また,分化転換TS細胞のDNAメチル化状態について検証し,Nanog遺伝子,Oct4遺伝子について,マウス胚盤胞から樹立したTS細胞とほぼ同一なDNAメチル化状態にあることが判明している。R5年度では,TS細胞の成立に重要なElf5遺伝子のDNAメチル化状態について検証した。しかし,DNAメチル化解析に重要なバイサルファイト反応の条件設定,バイサルファイト反応後のプライマー設計の詳細な条件設定が必要であることが判明した。鋭意研究したところ,これらの条件設定に一定の到達点を見出すことに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該タンパク質群によって得た分化転換TS細胞の分化能を示すことに成功した。ただし,分化転換TS細胞の特性について,次年度以降も更に詳細に検証する必要がある。所期の目標設定に照らしてみて,これらの進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当該タンパク質群と胎盤形成との関連については,分化転換TS細胞について,その細胞特性・分化特性を精査する予定である。特に,エピゲノム状態がTS細胞型に変化しているのか,Elf5遺伝子について重点的に検証したい。これにより,胎盤前駆細胞の形成と当該タンパク質群の関連について,より直接的な知見を得る。
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Causes of Carryover |
R5年度は,遺伝子発現抑制法を用い,マウス胚にて当該タンパク質群の発現を抑制することにより,胚発生への影響を検証する予定だったが,分化転換TS細胞に係るエピゲノム解析条件検討に大きな時間を費やした。そのため,当初予定していた遺伝子発現抑制実験に着手できず,R6年度以降に当該実験を実施する必要が生じたため。
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