2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K05539
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
松本 淳 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (70296169)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 絢 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (80812289)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ブラストシスチス / 人獣共通寄生虫 / 産業動物 / 野生動物 / クリハラリス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、ヒトの生活圏およびその周辺に生息する動物に着目し、これら動物種におけるブラストシスチス保有状況と保有サブタイプ(ST)の解明を目的としている。本年度は神奈川県内において個体増殖・分布域拡大が問題となっている野生のクリハラリスについて調査を実施した。2022年1月から6月、2023年1月・2月・12月に、神奈川県葉山町で捕獲されたクリハラリス計453検体を解剖し、直腸便を採材した。直腸便から市販キットにより抽出したDNAを鋳型にして、SSU rDNAを標的とするPCRを実施した。増幅産物が得られた検体について、得られた塩基配列をデータベース上の既知の配列と比較して遺伝子型を決定した。今回の調査では、48.6%(220/453)で増幅産物が認められ、その塩基配列はいずれもブラストシスチスのST4と100%一致した。雌における保有率は44.1%(75/170)、雄は51.2%(145/283)と有意差は認められなかった。また、月平均気温が≦10℃となる12月から1月における保有率は47.4%(158/333)、≧10℃となる3月から6月における保有率は51.7%(62/120)と季節による有意差は認められなかった。神奈川県ではクリハラリスがST4の感染源として重要であることが示唆され、その生活環は季節の影響を受けずに維持されていることが明らかとなった。また、他の野生齧歯類と生息環境が重複するため、野生齧歯類とクリハラリスの間でブラストシチスの生活環が維持されている可能性も考えられる。クリハラリスの個体数増加や分布域拡大に伴い、ST4の分布も拡大する懸念があり、季節や生息環境など、リスの生態に影響する要因と合わせて、次年度も調査を継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題では、ヒトの生活圏およびその周辺に生息する産業動物(牛・豚)と野生動物(クリハラリス・イノシシ)に着目し、これら動物種におけるブラストシスチス保有状況と保有サブタイプの解明を目的として調査を実施している。これら対象動物のうち、クリハラリスについては順調に調査結果を蓄積できているが、他の動物種、特に産業動物については調査計画の立案段階に留まっており、採材に着手できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
まだ調査を実施できていない産業動物(牛・豚)に重点をおき、採材農場との調整、調査対象とする動物の個体数や年齢等の具体化をすみやかに進める。野生動物(クリハラリス)については、捕獲個体提供元との連携を今後も維持し、調査結果をさらに蓄積する。
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Causes of Carryover |
産業動物を対象とする調査が順調には進んでおらず、調査に要する旅費および消耗品費等の支出額が当初の計画よりも少なかったために、次年度使用が生じた。今後、産業動物に重点をおいた調査を推進するための旅費および消耗品費として活用したい。
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