2023 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of a clinical grade feline iPS cell
Project/Area Number |
23K05544
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
塩澤 誠司 久留米大学, 医学部, 教授 (10447039)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂井 勇介 久留米大学, 医学部, 助教 (70711266)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ネコiPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
イヌを含む多数の動物種においてはこれまでiPS細胞の樹立が困難であったが、独自に開発した樹立法を用いることにより、獣医臨床への応用が可能な品質のiPS細胞を樹立できることを報告してきた。本研究では、獣医臨床において使用に耐えうる品質のネコiPS細胞の樹立を目標として研究を行なっている。 まず、RNAリプログライミング法によるネコiPS細胞の樹立法を検討した。市販のネコ線維芽細胞を入手し、EGFPをコードするRNAを用いて導入条件を決定した。この条件でリプログラミング因子を導入し、iPS細胞の樹立を試みたが、コロニーを得ることはできなかった。そこで、リプログラミングの過程で用いる培地等の条件を複数検討し、初期のiPS細胞様コロニーを得ることに成功した。しかしながら、その後の継代培養による増幅はできなかった。 そのため、ネコ多能性幹細胞の培養条件について検討した。多能性幹細胞は動物種により培養条件が異なるため、ネコにおいてもヒトやイヌ、マウスとは異なる培養条件が必要であると予想された。そこで、すでに樹立されているネコES細胞を入手し、最適な培養条件の検討を行った。複数の培養条件を検討した結果、現段階において最適と思われる培養条件を見出した。 並行して、エピソーマルベクターを用いたネコiPS細胞の樹立を行うため、ベクターの改良を進めた。また、ネコにおいては遺伝子発現解析法が十分に確立していないため、プライマーセットの設計および条件検討など、遺伝子発現の解析法確立を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までにネコiPS細胞は樹立されていないものの、RNAリプログラミングによるiPS細胞樹立条件について検討を行い、遺伝子導入条件の決定やiPS細胞様コロニーが出現するリプログラミング条件を見出すことができた。さらに、ネコES細胞を用い、培養条件について検討することができた。また、ネコではゲノム情報は利用できるものの、未だ遺伝子発現解析等に必要な各種ツールが乏しい状況にあるが、多能性状態を評価するための手法の確立を進めることができた。以上のことから、本申請研究の進捗状況は当初の想定と大きな相違はなく、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度から引き続き、ネコiPS細胞の樹立を試みる。令和6年度は、これまでに検討したRNAリプログラミング法に加え、エピソーマルベクターを用いた樹立法も検討し、これに用いるベクターの改良を進める。 さらに、ネコES細胞の培養条件について、現在はフィーダー細胞上で培養を行っているが、フィーダーレス培養の確立を試みる。 また、引き続きネコにおける遺伝子発現解析ツールの充実を図る。具体的には、定量PCRに用いるプライマーセットおよび免疫染色に用いる抗体について、ネコES細胞を用いて検討する。
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Causes of Carryover |
本年度予定していた一部の実験が次年度に延期となり、使用する試薬の購入がなかったため、使用額が約20万円ほど下回った。次年度には速やかに実施予定である。
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