2023 Fiscal Year Research-status Report
僧帽弁形成術の予後を左右する残存肺高血圧症の発生を肺動脈内血流から予測する
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23K05548
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 健介 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (80625898)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / 渦流 / Blood Speckle Imaging |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度である2023年度は、Blood Speckle Imagingがそもそも犬において利用可能であるのかを正常な犬を用いて検証した。その結果、人で用いられている条件からの変更が必要なものの、概ね問題なく肺動脈内の血流を評価することが可能であることが明らかとなった。 続いて臨床研究について、研究期間中に10例の僧帽弁逆流症例に対して僧帽弁形成術を実施した。そのうち1例では術後早期に発症した悪性腫瘍のため充分なフォローアップができず、9例を本研究の対象とした。9例中、術後肺高血圧症を発症したのは1例のみであり、人の患者において報告されている術後肺高血圧症発生率約50%を大きく下回るものであった。そのため、現状では術後肺高血圧症の発症リスク因子を評価することは不可能であるが、本研究で最も着目しているBlood Speckle Imagingを用いた肺動脈内渦流の評価については、当該症例において術前後ともに異常が認められており、本手法の有用性が伺える結果が得られたと考えている。また、術前から肺高血圧症を有していたのは約半数の4例であったが、いずれの症例においても同様にBlood Speckle Imagingによって異常な肺動脈内渦流が確認され、本手法が肺高血圧症診断の簡便で有用な診断方法となりうる可能性が考えられている。 なお、肺高血圧症モデル動物を用いた実験的な検討については、他研究との兼ね合いから実施できておらず、次年度以降に実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
術後肺高血圧症の発生が当初予想よりも少ないため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き症例の集積を進めるとともに、肺高血圧症モデルでの検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度に現地参加予定であった学会がオンライン開催される事となり、旅費への支出が不要となった。2024年度は現地参加するとともに、動物実験を実施するために様々な消耗品を購入予定である。
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