2023 Fiscal Year Research-status Report
ハイギョの原始的鋤鼻器における2型鋤鼻受容体および発生関連遺伝子の発現解析
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23K05549
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
中牟田 祥子 岩手大学, 農学部, 特任研究員 (70724532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中牟田 信明 岩手大学, 農学部, 准教授 (00305822)
二階堂 雅人 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (70432010)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ハイギョ / 2型鋤鼻受容体 / 嗅上皮 / 鋤鼻器 / in situ hybridization |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの四足動物は嗅上皮(OE)と鋤鼻器(VNO)、2つの嗅覚器を持つ。魚から四足動物への進化の過程で鋤鼻器が誕生したと考えられているが、その詳細については不明である。四足動物において嗅覚受容体の発現はOEとVNOの間で分離し、例えば両生類のツメガエルの2型鋤鼻受容体(V2R)は、OE特異的に発現するものとVNO特異的に発現するものに厳密に分類される。両生類に最も近縁な魚であるハイギョは、魚のOEに類似したラメラOEの他に、四足動物のVNOに類似した陥凹部上皮(RecE)を持つ。本研究は、「嗅覚受容体の発現と発生機序に関して、ハイギョのRecEと四足動物のVNOの間の共通点および相違点を明らかにするため、RecEにおける2型鋤鼻器受容体(V2R)および発生関連遺伝子群の発現を調べること」を目的としている。 2023年度は、主にアフリカハイギョProtopterus annectensについて、in situ hybridizationによりV2R発現解析を行った。P. annectensのV2R遺伝子は発現パターンにより、①ラメラOE特異的に発現するもの、②ラメラOEとRecEの両方に発現するもの、③RecE 特異的に発現するものの3つに分類された。P. annectensのV2R遺伝子の系統樹において、②ラメラOEとRecEの両方に発現するV2Rと③RecE特異的に発現するV2Rは1つのクレードに集中し、その他のV2Rは①ラメラOE特異的に発現するV2R だった。さらに、一部のV2Rは個体間で発現パターンが異なっていた。ある個体はRecE特異的に発現しているが、別の個体はラメラOEとRecEの両方に発現しているV2Rもあれば、ある個体ではラメラOE特異的に発現しているが、別の個体ではラメラOEとRecEの両方に発現しているV2Rもあった。これらの結果は、ラメラOEとRecEの両方に発現するV2Rが、ラメラOEとRecEいずれかでの発現を失い、RecE特異的に発現するV2R、あるいはラメラOE特異的に発現するV2Rになったことを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハイギョのV2Rに関しては、研究期間(2023年~2025年度)内に、4種のアフリカハイギョと1種の南米ハイギョについて、V2R遺伝子の同定と嗅覚器における発現解析を行う予定だった。2023年度は主に成体のP.annectensについて詳細なV2R発現解析を行い、V2Rは、ラメラOE特異的に発現するもの、RecE特異的に発現するもの、ラメラOEとRecEの両方に発現するものの3つに分類できること、一部のV2Rは個体間で発現パターンが異なることを明らかにした。P. annectensのV2R発現についての投稿論文を現在準備中である。さらに、幼体P. annectensにおけるV2R発現解析を開始しており、一部のV2Rは幼体と成体の間で発現パターンが異なる可能性を見出している。また、P. annectens以外の4種のハイギョについても、V2R遺伝子の同定と、1個体分のV2R発現解析は既に行っている。全体的にみるとおおむね順調に進展し、最終的には計画通りの実験データを得られる見込みが立っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は幼体P. annectensにおけるV2R発現解析を進め、幼体と成体との間のV2R発現の比較をテーマにした論文を投稿する。さらに、四足動物のVNOの発生・発達に関連する遺伝子群がハイギョのRecEに発現するか、その発現によってRecE予定域が同定できるかを明らかにすることを目的として、2024年度は候補遺伝子の選定とクローニングを行う。2025年度に嗅覚器におけるin situ hybridization発現解析を行う。
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Causes of Carryover |
学生に研究補助を継続的に依頼しているが、2024年1月から3月の3か月間、都合により研究補助業務を休止していたため、その分の研究補助に対する謝金が未使用のまま残った。この次年度使用額は、謝金あるいは消耗品の購入のために本年度使用する。
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Research Products
(2 results)