2023 Fiscal Year Research-status Report
犬バベシア原虫の薬剤耐性獲得機序の解明とそれを基盤とした新規治療法の開発
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23K05550
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山崎 真大 岩手大学, 農学部, 教授 (40322846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 匡史 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 実験動物管理室長 (00333790)
井口 愛子 鳥取大学, 農学部, 准教授 (90777020)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 犬バベシア症 / Babesia gibsoni / 薬剤耐性 / 遺伝子組み換え |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度には、まず培養維持しているBabesia gibsoniの野生株から、限界希釈方を用いてジミナゼン・アセチュレートおよびアトバコンに対する感受性の高い薬剤感受性株を分離し、維持を行なった。この薬剤感受性株は今後、本研究において遺伝子組み換えを行うことで薬剤耐性株を作成する上でその元となる重要な株である。次に、本研究課題にして申請していたエレクトロポレーションシステム(スーパーエレクトロポーターType Ⅱ、ネッパジーン)を購入し遺伝子組み換えに取り組んだ。過去にB. gibsoniに対してエレクトロポレーションを用いた遺伝子組み換えを実施した論文が存在するため、その論文の著者である帯広畜産大学原虫病研究センターの玄学南先生に遺伝子組み換え用のプラスミドを分与していただいた。まず、こちらのプラスミドを使用して遺伝子組み換えの検証を試みたが、玄先生らの使用した機器におけるエレクトロポレーションの条件が公表されていないため、計画を変更してB. gibsoniに対するエレクトロポレーションの条件設定から始めることにし、現在も条件設定を行なっているところである。また、分与していただいたプラスミドを基に、研究分担者の岡村匡史先生がトレハロース6リン酸合成酵素の遺伝子を組み込んだプラスミドの作成に成功した。トレハロース6リン酸はこれまでの研究によりB. gibsoniのジミナゼン・アセチュレート耐性に関与することが疑われている遺伝子であり、今後このプラスミドを使用して遺伝子組み換えを行うことにより、ジミナゼン・アセチュレート耐性B. gibsoniの作出を試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度の計画としては、薬剤感受性株の分離・確立と、エレクトロポレーションを用いた遺伝子組み換えによるアトバコン耐性株の作成であった。まず、薬剤感受性株の分離・確率は成功し、現在この株を用いてエレクトロポレーションの条件設定を実施しているので、前半の目的については達成している。エレクトロポレーションの条件については残念ながら文献からは明らかにならず、条件設定を実施する必要があり、現在のところは目的の遺伝子を組み込むことには至っていない。ただし、条件設定は順調に進んでおり、条件設定が完了すれば同じ条件でさまざまな遺伝子をB. gibsoniに組み込むことが可能になるため、研究は加速することが期待できる。一方で、帯広畜産大学原虫病研究センターの玄学南先生からプラスミドを分与していただいたことにより、このプラスミドを改良することでB. gibsoniにさまざまな遺伝子を組み込むことが可能になった。その第一歩として研究分担者の岡村匡史先生により目的遺伝子の一つであるトレハロース6リン酸合成酵素の遺伝子を組み込んだプラスミドが作出できたことから、今後、同様の手技で目的とする遺伝子を組み込んだ、B. gibsoniに遺伝子を導入するためのプラスミドの作成が可能になった。以上より、一部エレクトロポレーションの条件設定という計画していなかった作業が必要になったものの、本研究課題は概ね当初の予定通り順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年の研究計画としては、本年度の初め数ヶ月でB. gibsoniに対するエレクトロポレーションの条件設定を完了させ、順次目的の遺伝子をB. gibsoniに導入することで薬剤耐性株のin vitroでの作成を試みる。遺伝子組み換えの成功、失敗については、蛍光色素の遺伝子であるEGFPを外して目的の遺伝子をプラスミドに組み込むことから、薬剤耐性遺伝子であるDHFR遺伝子がB. gibsoniに組み込まれていることをPCRで確認を行うことで実施する。さらに、薬剤耐性を獲得したかどうかについては、遺伝子組み換え原虫のジミナゼン・アセチュレートおよびアトバコンそれぞれに対する50%阻害濃度を、フローサイトメトリーを活用して計測し、薬剤感受性株と比較することで明らかにする。令和6年度にはジミナゼン・アセチュレート耐性に関連するトレハロース6リン酸合成酵素ならびにアトバコン耐性に関連するシトクロームb遺伝子の変異について遺伝子組み換えを実施し、それらの薬剤耐性獲得における関与と機能を明らかにしたい。令和7年以降は、その他薬剤耐性への管呂が疑われるゴルジ体複合体やABCトランスポーター遺伝子について順次組み換えとそれによる薬剤耐性獲得の有無を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた遺伝子組み換えのためのエレクトロポレーション機器も購入し、計画的に予算を執行していたところ、一部の使い捨て消耗品において発注のミスがあり、購入しなかったため予算が38,304円残ったのでこれを次年度に繰り越した。もともと購入予定であった消耗品を年度が変わってから購入する予定であり、速やかに執行する予定である。なお、この消耗品の発注ミスにより研究に遅れが生じることはない。
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Research Products
(3 results)