2023 Fiscal Year Research-status Report
ペリオスチンに着目したネコの口腔扁平上皮癌の高悪性化機序の解明
Project/Area Number |
23K05567
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
峰重 隆幸 麻布大学, 獣医学部, 講師 (00791584)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ネコ / 腫瘍 / 癌 / 間質 / 扁平上皮癌 / ヒアルロン酸 / ペリオスチン |
Outline of Annual Research Achievements |
ネコの口腔扁平上皮癌(oSCC)は、ネコの口腔腫瘍の中で最も発生頻度が高く、侵襲性の高く、治療抵抗性の悪性腫瘍である。ペリオスチンは細胞外基質の一種で、多くのヒトの悪性腫瘍のがん間質に沈着していることが知られている。また、ヒトにおいて悪性腫瘍の間質における粘液の沈着は、腫瘍の病態進展に関与していることが知られている。一方で、oSCCにおける間質に着目した先行報告は限定的であり、粘液やペリオスチンを評価した報告は認められない。 これまでに、研究代表者は17匹のネコから採取した19サンプルを用いて、oSCCのがん微小環境を解析し、特に粘液、ペリオスチンおよび線維質の間質の特性を明らかにした。粘液に富む間質はヒアルロン酸が豊富であり、がん関連線維芽細胞(CAF)や腫瘍の萌芽現象と関連があることが示した。この粘液性間質タイプでは、より高い組織学的悪性度を示し、病理学的に重要な指標となる可能性があると考えた。また、ペリオスチンのタンパク質とmRNAの発現も粘液性間質で高頻度に観察され、これがCAFによって主に産生されていることが示唆された。 さらに、炎症細胞の役割についても検討を実施した。T細胞やマクロファージと異なり、B細胞の浸潤が粘液性間質の存在と有意な負の相関を示すことを確認した。これはB細胞が腫瘍抑制的な役割を果たしている可能性を示唆していると考えた。 以上については、JVMS誌にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の異動もあったが、目標としていた2023年度中の論文報告を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年4月より、麻布大学臨床診断学研究室に異動した。現在は新しい研究室での研究のセットアップを進めている。
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Causes of Carryover |
研究代表者の異動により、実験の空白期間が生まれたため。なお、実験の空白期間には論文執筆作業をおこなった。
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