2023 Fiscal Year Research-status Report
染色体不安定性により生じる染色体異常を介したイヌ悪性黒色腫の転移能獲得機構の解明
Project/Area Number |
23K05569
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
遠藤 能史 鳥取大学, 農学部, 准教授 (10551666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐伯 亘平 岡山理科大学, 獣医学部, 准教授 (30769005)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 犬悪性黒色腫 / 染色体不安定性 / 転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、染色体不安定性により生じる染色体の数的もしくは構造的変化がもたらすゲノムの変化が犬悪性黒色腫の転移に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。そのため、まず犬悪性黒色腫細胞株の染色体不安定性を調べ、さらに染色体不安定性を有する細胞株によるヌードマウスを用いた異種移植モデルを作成し、原発巣(移植部位)と転移病巣を比較してゲノム変化を明らかにし、染色体不安定性との関連性を調査する。 本年度は、犬悪性黒色腫細胞株19株における染色体不安定性を調べるためにPI染色によるDNA量をフローサイトメーターにて、染色体数をmetaphase spread karyotypingにて、分裂期染色体の異常分配の頻度をDAPI染色による核染色とαチューブリンの免疫染色にて確認した。その結果、複数の細胞株で分裂期の異常な染色体分配によるDNA量の異常や染色体数の異常が示された。次に、染色体不安定性を示す細胞株を用いて転移モデルを作成するため、ヌードマウスの皮下に異種移植を実施した。染色体不安定性細胞株の多くで移植後、生着が認められた。しかしながら、その生着には時間を有し、さらに移植部位の病巣の大きさがエンドポイントに到達しても肺などへの遠隔転移病巣は非常に小さくかつ少なく、移植部位と転移病巣とのゲノムの変化を調べるに十分な材料を回収することができなかった。そのため、研究に必要な転移病巣を得るには免疫不全モデルの変更や、肺転移病巣が増加増大するよう異種移植モデルの作成方法の変更の必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
染色体不安定性細胞株の異種移植後の生着および転移に時間が必要であることからその後のゲノム解析に必要な細胞・組織検体の採材に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ヌードマウスを用いたモデルにて研究を遂行するが、状況に応じて、さらなる重度複合免疫不全マウス(SCIDマウス)を用いて研究することも視野に入れて研究を進める。
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Causes of Carryover |
免疫不全マウスを用いた移植実験の進行に遅れが生じていることから、それらに関わる経費が次年度使用額となっている。次年度は遅れの生じている移植実験を遂行し、当初の計画通り予算を使用する予定である。
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