2023 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患におけるスフィンゴ糖脂質による治療を目指した基礎的研究
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23K05580
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
山下 匡 麻布大学, 獣医学部, 教授 (30220338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永根 大幹 麻布大学, 獣医学部, 講師 (10772064)
中村 孝司 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (20604458)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | IBD / スフィンゴ脂質 / T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
T細胞特異的スフィンゴ糖脂質欠損マウスを用いて、2%デキストラン誘発性腸炎モデルIBDモデルを作製し、T細胞の変化を検証した。NCBI GEOに登録された IBD 患者の末梢血単核細胞(PBMC)のマイクロアレイデータを用い、スフィンゴ糖脂質関連遺伝子群の遺伝子発現を解析した。C57BL/6N系統野生型(WT)マウス、およびT細胞特異的 UDP-グルコースセラミドグルコトランスフェラーゼ(UGCG)欠損 マウス(UgcgΔ/Δマウス)に2%デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)を飲水投与することでIBDモデルを作製し、体重変化、生存率、Disease Activity Index(DAI)スコア、大腸の長さを測定した。大腸の組織切片を作成し、HE染色を用いて組織学的に解析した。IBD モデルマウスの腸間膜リンパ節、および脾臓中のT細胞を分取し、Ugcg とグルコシルセラミド(GlcCer)の発現量をフローサイトメトリーで解析した。また、2%DSS投与期間中、WTマウスにGlcCerを搭載した免疫細胞標的脂質ナノ粒子(GlcCer-LNP)を隔日で静脈内投与し、病態の変化を検討した。その結果、11個のスフィンゴ糖脂質関連遺伝子のうちUGCGのみIBD罹患群の遺伝子発現量が低下していた。IBDモデルマウスにおいて腸間膜リンパ節、およびT細胞中のUGCGとGlcCerの発現量は病態の重症化に伴い減少した。T細胞特異的UgcgΔ/Δマウスにおいて、DSS飲水投与後に有意な体重減少、生存期間の短縮、臨床スコアの増加、大腸の萎縮および組織学的炎症の増強が観察された。GlcCer-LNPはIBDモデルマウスにおける腸炎の病態を改善した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時は、予備実験をもとに仮説を立て、立証する手法を用いている。現在までは、順調に進んでいると評価できる。24年度計画にある.脂質ナノ粒子(LNP)を用いたIBDモデルに対して治療効果に関しては、順次実験準備を薦めているため、年度後半から来年度に成果が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
脂質ナノ粒子(LNP)を用いたIBDモデルに対して治療効果を明らかにするため、① IBDを発症させたマウスに対し、スフィンゴ糖脂質を免疫細胞指向性LNPに組み込んだ脂質成分(UGCGによって合成されるグルコシルセラミド)を投与した場合、体重減少の抑制などの症状が改善され治療効果を発揮するかを、体重変化、生存率、Disease Activity Indexスコア、大腸の長さ、大腸組織における炎症性サイトカインのELISAにより解析することで評価する。② 上記以外の組成(親水性や分子量、二重結合の有無など)の異なる脂質を内包した場合の効果を上記の測定法を用いて評価する。25年度にかけて、24年度までの結果を踏まえ、炎症部分である上皮細胞の変化を、細胞膜の流動性、硬度等を計測することで数値化することで、細胞膜のバリア機能の維持とIBDの関連を明らかにする。
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Causes of Carryover |
購入した備品等の合計額に当初予算との差異が生じたため、端数が発生した。最終的には、これも試薬・備品用経費としてしよう予定である。
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