2023 Fiscal Year Research-status Report
Regulatory Mechanisms of Clock Protein Dynamics in Mammalian Circadian Clock Development
Project/Area Number |
23K05643
|
Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
土谷 佳樹 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30456777)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 概日リズム / 発生 / 時計タンパク質 / タンパク質間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
哺乳類の概日リズムは初期胚や胚性幹細胞(ES細胞)では見られず、発生過程において細胞分化に伴い形成されることが明らかになっている。概日時計の成立において時計タンパク質群の細胞内動態の適切な制御が重要であることは明らかであるが、それが細胞分化に伴いどのように形成されていくかという点は不明である。本研究では、マウスES細胞の分化誘導系を用いて哺乳類概日時計の発生前後の時計タンパク質複合体の細胞内動態を詳細に比較解析することで、分化前後での時計タンパク質動態の変化を明らかにすることを目的としている。 現在、CRISPR/Cas9による内在性時計遺伝子へのエピトープタグノックインを行って、概日時計発生前後の時計タンパク質複合体の時刻依存的な結合状態や細胞内局在の変化等の細胞内動態を解析中である。まず、マウスES細胞において、Bmal1、Per1および Cry1などの内在性の時計遺伝子に3xFLAGタグをノックインすることで、複数のES細胞株を作出した。ノックインはCRISPR/Cas9と1本鎖ドナーDNAを用いた手法で行った。各ES細胞株についてタグ付加タンパク質の発現や細胞分化に伴い形成される概日リズムの評価を行い、概日リズム形成能が維持されていることを確認した後に実験に使用している。既に作出した3xFLAGタグノックインした細胞株については、抗FLAG抗体によるタンパク質発現の検出および正常な概日リズム形成が確認できている。さらに、ES細胞分化前後の時計タンパク質複合体形成について現在解析中である。本実験系によって哺乳類概日時計発生過程における時計タンパク質動態の詳細が明らかになると期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスES細胞において、既にBmal1、Per1および Cry1などの複数の内在性時計遺伝子に3xFLAGタグをノックインした細胞株を樹立できており、スムーズに研究を進めることができている。各ES細胞株についてタグ付加タンパク質の発現や細胞分化に伴い形成される概日リズムの評価も行っており、概日リズム形成能が維持されていることを確認している。また、抗FLAG抗体による3xFLAGタグ融合タンパク質の検出も確認済であり、研究はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は作出した遺伝子改変ES細胞株を用いて、予定通りES細胞分化前後の時計タンパク質複合体形成について解析を行う。これにより、ES細胞の分化前および分化誘導過程において、概日時計形成機構におけるタンパク質レベルでの制御・動態の変化を明らかにしていく。また、今年度は質量分析による時計タンパク質結合因子の同定も行う予定である。網羅的な結合タンパク質の検出により、ES細胞において時計タンパク質と相互作用する未知の制御因子を探索し、未分化ES細胞における概日時計発振抑制機構の鍵となる因子の同定を目指す。
|
Causes of Carryover |
本研究で新たに作製した細胞株を実際の実験に用いる前の評価を慎重に行う必要があったことから、予定していた実験の一部を次年度に行うことになったため。
|