2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K05692
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 健 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00303602)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 小胞輸送 / 小胞体 / COPII / 低分子量GTPase / 核 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核細胞内における小胞体-ゴルジ体間の小胞輸送では、COPIIコートタンパク質が小胞体膜上に集合し、これらが低分子量GTPaseであるSar1によって制御されながら輸送小胞が形成される。このCOPIIコートタンパク質とSar1のセットは、これまで小胞体膜表面で機能するものと考えられていた。ところが、われわれのグループではCOPIIコートを形成するサブユニットのうち、Sec23サブユニットのホモログNel1が核内に移行することを独自に見いだし、またこのNel1はSar1と直接結合してGTPase活性を亢進することを明らかにしている。これらのことから、小胞体における小胞輸送因子の少なくとも一部が、核内においても何らかの生理的機能を担っていることが示唆される。 本研究では出芽酵母を材料とし、核内移行する小胞輸送因子が核内で担う機能の徹底的な理解を目指す。 令和5年度は、核移行するCOPIIコートタンパク質のホモログであるNel1について、ホモログであるSec23とのさまざまなキメラを作成し、それらをSec23温度感受性変異株やSec23欠損株中で発現させることにより、キメラの機能相補を指標にNel1分子中の機能領域の解析を試みた。また、split-GFP法によりSar1の核内局在を検討するために、核内腔や核内膜上、および小胞体膜に局在する各種マーカーの作成を行い、酵母細胞内での発現や局在の確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において設定した、今年度に達成すべき項目について、ほぼすべてについて着手し、目的の結果を得ることができ、次年度の研究につながる成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに得られたNel1の機能領域の情報をもとに、細胞内におけるNel1の機能解析を進める。また、前年度までに作成した核内腔、核内膜、および小胞体膜に局在する各種マーカーを用いて、split-GFP法によりSar1の核内局在を検討するための準備を進める。
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Causes of Carryover |
(理由) split-GFP法で用いるための核内腔、核内膜、および小胞体膜に局在する各種マーカータンパク質の構築に予想外に多くの時間を費やすことになり、より多くの消耗品を必要とするその先の解析に費やした時間が相対的に少なくなったため。 (使用計画) 前年度に引き続き、核内移行する小胞輸送因子が核内で担う機能の解析において、分子生物学試薬、微生物培養試薬、生化学試薬、プラスチック製品などの消耗品の購入を行う。
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