2023 Fiscal Year Research-status Report
Why are there many c subunits in photosynthetic ATP synthase? Analysis of structural motif and ATP synthesis efficiency
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23K05702
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
三留 規誉 常葉大学, 教育学部, 准教授 (90431981)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ATP合成酵素 / 葉緑体 / 光合成 / ATP合成効率 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内でATPを合成するATP合成酵素のATP合成効率は、その多量体cサブユニットリングのcサブユニット数で決まっている。この数は、8~15個と生物種によって大きく異なっており、葉緑体などの光合成型のATP合成酵素では14~15個と多い。本研究では、光合成型と呼吸型のATP合成酵素のcサブユニット数の違いの意義を明らかにするために、まず、緑藻クラミドモナスのATP合成酵素のcサブユニット数を解明し、光合成型ATP合成酵素のcサブユニット数の普遍性を明らかにする。次に、cサブユニット数に関わるモチーフに着目し、光合成型ATP合成酵素のcサブユニットのモチーフに変異導入したATP合成酵素のATP合成効率を解析する。これにより、cサブユニットのモチーフとATP合成効率の関係を明らかにする。この研究は、光合成のエネルギー変換効率の生理的意義と進化との関わりを明らかにし、微細藻類を用いた効率の良い物質生産の実用化研究に展開することが期待される。 2023年度は、クラミドモナス葉緑体のatpH(cサブユニット遺伝子)をコードするプラスミドp-520から、atpH遺伝子以外の余分なatpA、atpF遺伝子を欠損させて、aadAカセットを挿入したプラスミドベクターをIn-Fusion Cloning法を利用して作製した。aadAカセットはスペクチノマイシン耐性を持ち、選択培地で培養した際に目的の変異株が生えたときの指標となる。生物種によってATP合成酵素のcサブユニットが異なるが、cサブユニットが接触している領域のアミノ酸配列が、cサブユニットの数を決定しているといわれている。このアミノ酸配列をcサブユニットの数が異なる他の生物種のアミノ酸配列に置換する変異プライマーの設計を行った。今後、これらの変異プライマーを利用して、クラミドモナスの変異株を取得し、変異cサブユニットをもつATP合成酵素のcリング形成、ATP合成活性、クラミドモナスの生育を評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、ATP合成酵素の変異株を得るためのプラスミドを作製することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
変異株を取得し、ATP合成酵素のcリング形成、ATP合成効率を評価する。
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Causes of Carryover |
今年度は、遺伝子工学の実験を中心に年度末に生化学実験も並行して行う計画であったが、生化学実験は、次年度に実施することにした。次年度使用額は生化学実験に必要な試薬の購入に使用する計画である。
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