2023 Fiscal Year Research-status Report
Cell fate regulation by mitochondrial phospholipids
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23K05753
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
宮田 暖 国立感染症研究所, 細胞化学部, 室長 (10529093)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / リン脂質 / 日本脳炎ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、病原体感染時における宿主リン脂質変化と、その生理的意義の解析を試みている。ミトコンドリア内膜にはリン脂質カルジオリピン(CL)およびホスファチジルエタノールアミン(PE)の合成に関する酵素群が存在している。また、ミトコンドリア内膜におけるCL、PEの合成には、それぞれの原料となるホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルセリン(PS)が小胞体から輸送、供給されなくてはならない。ミトコンドリア膜間部に局在するリン脂質輸送体であるPRELID1-TRIAP11複合体、PRELID3b-TRIAP1複合体はそれぞれPA、PSのミトコンドリア外膜-内膜間輸送を媒介し、CL、PEの合成に寄与している。 本年度は、哺乳動物培養細胞HEK293Tを用い、日本脳炎ウイルス(JEV)感染がミトコンドリアリン脂質合成に及ぼす影響について解析を試みた。その結果、JEVに感染したHEK293T細胞においてPRELID1およびPRELID3bの著しい減少が観察された。また、このPRELID1、PRELID3b量の低下には、ミトコンドリア内膜局在プロテアーゼYME1Lが関与していることを見出した。これらの結果から、JEV感染はHEK293T細胞において、ミトコンドリア内リン脂質輸送、CL、PE合成の低下を引き起こすと考えられる。CL、PEは、呼吸鎖複合体活性、アポトーシス、マイトファジー、ミトコンドリア動態制御など多様なミトコンドリア機能に関与しているため、PRELID1、PRELID3b量の低下はJEV感染時における細胞病態、ミトコンドリア機能に大きく影響している可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表者は、これまでミトコンドリアリン脂質の合成制御機構およびその生理的意義について研究を行なってきた。本研究では、ウイルス感染時のヒト培養細胞におけるミトコンドリアリン脂質代謝変動について解析を試みた。その結果、これまで主な研究対象としてきたミトコンドリア内リン脂質輸送体PRELID1、PRELID3b(それぞれ出芽酵母Ups1、Ups2)がJEV感染時のHEK293T細胞において著減することを見出した。このことから、JEV感染細胞においてミトコンドリアリン脂質代謝が大きく変動していると考えられる。今後は、この知見を足掛かりに、JEV感染による病態発症機序をミトコンドリア機能の観点から解析する。これに関し、代表者のこれまでの研究で得た知見、技術が有用であると期待される。これらのことより、これまでの進捗状況はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、JEV感染HEK293T細胞において、ミトコンドリア内PA輸送を媒介しCL合成に関与するPRELID1および、ミトコンドリア内PS輸送を媒介しPE合成に寄与するPRELID3bの量が著減することを見出している。CL、PEは、呼吸鎖複合体活性、アポトーシス、マイトファジー、ミトコンドリア動態制御など多様なミトコンドリア機能に関与しているため、PRELID1、PRELID3b量の低下はJEV感染時における細胞病態に大きく影響している可能性がある。本年度は、これに関してさらに詳細な解析を行うことを目的とし、以下の実験を行う。 (1)JEV感染によるHEK293T細胞ミトコンドリアにおけるCL、PE合成量の変化を、質量分析、放射性同位体を用いた代謝標識実験により解析する。 (2)PRELID1、PRELID3bを高発現するHEK293T細胞を樹立し、これらを用いてJEV感染に伴う細胞死、ミトコンドリア機能・形態変化が緩和されるかを検討する。 (3)HEK293T細胞を用いた実験の結果を受け、神経細胞の特徴を保持しているSH-SY5Y細胞を用いて同様の実験を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度は、他助成金を本研究に使用できるようになったため、まずそちらから使用した。 次年度では、この繰越経費を用いて、JEV感染細胞のリン脂質組成の質量分析による解析、ミトコンドリア微細構造の電子顕微鏡による解析など、より高度で詳細な解析を行うための費用に充てる。
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Research Products
(2 results)