2023 Fiscal Year Research-status Report
T細胞の代謝と分化を制御するリソソーム不等分配におけるV-ATPaseの役割
Project/Area Number |
23K05754
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
後藤 奈緒美 (松元奈緒美) 国際医療福祉大学, 基礎医学研究センター, 助教 (80403971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 真弓 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (20270506)
河上 裕 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (50161287)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | リソソーム / オルガネラ輸送 / 細胞傷害性T細胞 / エネルギー代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、リソソームの細胞内輸送によるリソソーム自身の分布変化と細胞のエネルギー代謝・機能の関連を解明することを目指している。プロトンポンプであるV-ATPaseは、複数のサブユニットからなり、aサブユニットのa3アイソフォームがリソソームに局在する。このa3サブユニットアイソフォームを欠損するマウスと野生型マウスの胸腺のT細胞を解析したところ、いずれもCD4+またはCD8+のシングルポジティブT細胞が出現していたことから、この時点の分化にはa3の関与は小さいことが示唆された。脾臓とリンパ節では、a3欠損マウスのほうが、T細胞の割合が高い傾向があった。a3欠損マウスの臓器は全体的に小さいことから、T細胞の増殖が亢進しているのか、他の細胞の増殖が抑制されているのか、検討する必要がある。また、脾臓におけるCD8+ T細胞のメモリー細胞とエフェクター細胞について調べた結果、メモリー細胞の割合が低めであった。これは予想に反した結果であるが、a3がメモリー細胞の維持に重要である可能性が示唆される。まだサンプル数が少ないことから、再現性の確認をすすめる。a3と結合する小胞輸送因子を複数見出したことから、この中から、T細胞におけるリソソーム輸送に関わる因子がないか検討する。 a3は、細胞質側のN末端側半分の領域でRab7およびそのGEFであるMon1a-Ccz1と結合すること、しかし、その領域だけでは、破骨細胞におけるリソソームの輸送には不十分であり、結合には関与しないC末端側の部分も輸送に重要であることを、論文として発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度途中から、他の研究を1年間担当することになり、本研究に割けるエフォートがかなり少なくなったため、予定していたペースでは研究ができなかった。しかし、サンプル数は十分ではないものの、a3欠損マウスを用いた個体レベルでのT細胞の状態について検討して傾向をつかめたこと、V-ATPaseと結合する小胞輸送因子を見つけたことから、計画通りに進んだ部分もあるとし、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に得られた結果の再現性を確認する。また、2024年度は、メモリー細胞とエフェクター細胞の違いについて検討する。V-ATPaseのサブユニットアイソフォーム構成、pHやリソソーム酵素の活性、mTORの活性化状態、各細胞の代謝状態について明らかにする。
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Causes of Carryover |
2023年度途中に、他の研究も担当することになり、予定していたペースで研究が進まず、RNAseqができなかったことで、支出額が小さくなった。しかし、2024年度にRNAseq解析をする予定を組んでいることから、2024年度の予算と支出の違いは小さくなると見積もっている。
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Research Products
(2 results)