2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K05790
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
川村 哲規 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (10466691)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | Hox遺伝子 / ゼブラフィッシュ / CRISPR-Cas9 / 脊椎動物の形態多様性 / 脊椎動物の初期進化 / CTスキャン |
Outline of Annual Research Achievements |
Hox遺伝子群は、動物発生において体軸に沿った位置情報を司る。脊椎動物の胚発生において、これまでにマウスを用いた研究が精力的に行われ、4つのHoxクラスターに存在する39個のHox遺伝子について、様々なノックアウトマウスが作製され、その機能が明らかにされてきた。しかしながら、脊椎動物におけるHox機能欠損型の表現型解析は、ほぼマウスに限定されている。本研究では、マウスと進化的に離れたゼブラフィッシュを用いる。ゼブラフィッシュには、7つのhoxクラスターに49個のhox遺伝子が存在するが、各Hox変異体、変異を重ねた多重変異体を作製し、ゼブラフィッシュHox機能の全容を明らかにすることで、マウスで得られた知見が脊椎動物間で保存されるか、また、脊椎動物における新たなHoxの機能を見出すことを目的としている。研究代表者は、これまでに各hoxクラスターを欠損した変異体を作製し、クラスター単位での機能を明らかにしてきた(Yamada et al., Development 2021)。本研究課題では、様々なhox変異体を作出することにより、ゼブラフィッシュに存在する49個のhox遺伝子の機能の全容解明を目標としている。2023年度については、我々のこれまでの研究からhoxの関与が示唆されてきた頭部側の脊椎骨パターニングや、背ビレ、臀ビレの形成領域に関して、様々なhox変異体を作製し、Hox遺伝子の機能の全容をほぼ明らかにした。また、別のhox遺伝子の多重変異体を作製した結果、マウスでは見出されていない興味深い異常を幾つか見出しており、新たなhox遺伝子の機能が示唆されつつある。それと併行して、変異体の解析と共に、その原因遺伝子となるhox遺伝子の発現を可視化するノックイン系統も複数、単離した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでのhoxクラスター欠失変異体の解析から示唆されていたゼブラフィッシュの頭部側脊椎骨(第1~5脊椎)のアイデンティティーを規定するhox遺伝子について、変異体を作製することで、ほぼ全容を明らかにすることができた。マウスと保存されている点、さらに異なる点が示され、脊椎骨パターニングの進化について新たな知見が得られた。また、同様にhoxの関与がこれまでに示唆されていた背ビレおよび臀ビレに関しても、形成領域を制御するhox遺伝子について、様々な変異体を作製することで、これも概ね全容を同定することができた。さらに、別のhox遺伝子の多重変異体を作製した結果、興味深い異常を幾つか見出しており、新たなhox遺伝子の機能が示唆されつつある。変異体の解析と共に、hox遺伝子の発現を可視化するノックイン系統も複数、単離することに成功した。上記の結果は、研究計画を立案した当初の予定と比較して、期待された成果と同等であり、本研究は順調に進捗していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き従来の計画通りに、ゼブラフィッシュに存在する49個のhox遺伝子の全容解明に向けて、変異を重ねた多重変異体を作製していく。また、2023年度に見出した新たな知見についても、さらに研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
物価高の影響もあり、当初からキャンペーン品などを多く購入し、予算の支出を極力抑えた。それとともに、研究が想定したよりも順調に進んだため、必要な消耗物品の使用が軽減された。旅費に関しては他からの援助があり、想定した額を下回った。残額は、次年度に実施する実験のために有効活用する。
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[Presentation] Deciphering the zebrafish Hox code in the anterior vertebrae provides molecular insights into the evolution of the vertebral column2023
Author(s)
Akiteru Maeno, Hidemichi Nakazawa, Renka, Fujii, Mizuki Ishizaka, Koumi Satoh, Kazuya Yamada,Atsuki Ishizu, Takumi Sugawara, Urara Adachi, Akinori Kawamura
Organizer
第29回 小型魚類研究会(さいたま)
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