2023 Fiscal Year Research-status Report
単純な脊椎動物の消化管運動を単細胞で制御できる細胞群の同定、その発生と機能
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23K05796
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
八田 公平 兵庫県立大学, 理学研究科, 教授 (40183909)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 副交感神経 / 交感神経 / 腸 / 光遺伝学 / ゼブラフィッシュ / PFGFRa |
Outline of Annual Research Achievements |
腸は第二の脳とも呼ばれ、ニューラルクレスト由来の感覚神経細胞、介在神経細胞、運動神経細胞などが作る神経回路がぜんどう反射などの器官運動を引き起こす。また、非神経系の介在細胞がネットワークを作り、ペースメーカーとして働くことにより、規則正しい腸運動を実限していると考えられている。ゼブラフィッシュはヒトと同じ脊椎動物で、その基本的な体や器官の特徴はよく似ているが、哺乳類では2層ある神経叢がゼブラフィッシュでは1つの層になっていて、神経細胞も神経節のような塊を作らずに散在しているなど、より単純な構造をしている。また、特に幼生の時期には腸付近は透明である。私たちは、このようなゼブラフィッシュの腸を用いて、腸神経系の細胞の移動、分裂、軸索の伸長などの現象や、その活動と器官運動における役割を、一つ一つの細胞レベルで明らかにしてきた。 令和5年度は、これらの研究を継続・発展させるのと同時に、ゼブラフィッシュの腸神経系と自律神経との関係、また、自律神経支配が発生においてどのように進むかをトランスジェニック、抗体染色、光遺伝学によって調べ、学会発表をおこなった。また、腸の部域化に関わる可能性のある、発達中の腸で発現する数十の転写因子を単離して、それらの発現を調べた。さらに、ICCとは異なる介在細胞の一種のマーカー遺伝子である pdgfraのゼブラフィッシュ幼生の腸における発現パタンを明らかにした論文が受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自律神経系の発生に関する研究、腸で発現する遺伝子の解析について、ほぼ計画通りに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
透明で生きた状態で体内の腸の運動や、腸神経細胞、平滑筋細胞、非神経系の介在細胞を可視化できるゼブラフィッシュの利点を生かし、光遺伝学・カルシウムイメージングと抗体染色を組み合わせ、腸神経細胞と非神経系細胞一つ一つの発生と機能について研究を推し進め、論文を作成する。
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Causes of Carryover |
次年度以降に備えて出費を抑えたため。
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