2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of mechanisms for post-associative dopamine release, which functions as a reinforcer in classical conditioning
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23K05863
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
長野 慎太郎 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳・神経科学研究分野, 主任研究員 (30631965)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ドーパミン / 強化 / 連合学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、 強化を担うDAの放出が匂い刺激と電気ショックの感覚情報を統合した記憶中枢からDA神経へ強化誘導シグナルが伝わることで生じることを明らかにすることを目的とする。そのために、強化誘導シグナルの実態、及び神経機構を明らかにするための実験を行った。 まずDA放出を制御する神経回路機構を行動実験を用いて検証した。記憶中枢領域の一部神経からの出力を熱遺伝学的手法を用いて抑制したところ、学習スコアがゼロになることを見出した。次に、この領域からの投射を受けている出力神経の神経活動を熱遺伝学的手法で制御し行動実験を行ったところ、やはり学習スコアが顕著に低下した。これらの結果は、記憶中枢から出力神経を介して、ドーパミン神経へと続く神経回路の一部機構を見出したことを示し、強化に関与するドーパミン放出機構の一部を明らかにしたことを示唆する。 次に、薬理学的手法を用いて複数の分子活性を抑制しドーパミン放出イメージング実験を行い、ドーパミン放出に影響を及ぼす分子スクリーニングを行った。我々は、学習に必要となる連合学習後に起こるドーパミン放出を見出しているが、このドーパミン放出だけに機能する複数の候補分子を見出した。そこで、これら分子の遺伝子発現を上記出力神経で抑制し、行動実験を行ったところ、候補遺伝子の中から学習スコアが低下する分子を一つ見出した。また、同時に出力神経でこの分子の発現抑制を行い、ドーパミン放出のイメージングを行ったところ、連合学習後ドーパミン放出だけが抑制されることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
行動遺伝学的解析と生体内イメージング法を用いて、 ドーパミン放出を制御する分子、および、神経回路機構の一部を初年度に明らかにすることができたので、おおむね順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本年度に見出した出力神経がドーパミン神経と直接、間接的に回路を形成しているか、組織学的手法を用いて明らかにしていく。また、本年度に行った薬理学実験の結果、連合学習後ドーパミン放出に機能する可能性をもつ候補遺伝子を複数明らかにしたが、これらが実際にどの神経で、どのように機能するか、検証が終わっていない。そこで、本年度実施した生体内ドーパミンイメージングと行動実験を併用して引き続き検証していく。さらに、記憶中枢とドーパミン神経の間に出力神経が関与しない経路が存在し、並列的に機能する可能性が浮かび上がってきた。そこで、この可能性も熱遺伝学的手法、遺伝子発現調節を利用し、生体内ドーパミンイメージングと行動実験を用いて検証していく。
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Causes of Carryover |
当初予定していた行動遺伝学実験の実験装置の購入を見送ったことと、予定していた海外学会へ参加できなかったことが大きな原因で次年度使用額が生じた。 本年度は、昨年度行わなかった行動遺伝学実験装置の購入を行うとともに、イメージング解析を行うためのPCを購入することで、使用計画を果たしていく。
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