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2023 Fiscal Year Research-status Report

絶対送粉共生系における機能的共進化・共種分化の統合的解明

Research Project

Project/Area Number 23K05883
Research InstitutionJT Biohistory Research Hall

Principal Investigator

蘇 智慧  株式会社生命誌研究館, その他部局等, 主任研究員 (40396221)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 岡本 朋子  岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (50588150)
Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Keywordsイチジク属 / イチジクコバチ / 共進化 / 共種分化
Outline of Annual Research Achievements

イチジク属植物とイチジクコバチ絶対送粉共生系は種特異性が高く、共進化と共種分化のモデル系として多くの研究がなされてきた。しかし、これまでの研究から共進化と共種分化の強い証拠はあまり得られていない。
我々は、台湾―琉球列島に分布するイチジク属の1種であるオオバイヌビワ F. septicaとその送粉コバチ(オオバイヌビワコバチ Ceratosolen sp.)を調べたところ、台湾、石垣島と沖縄本島の間で寄主植物の花の匂いの化学成分に違いがあることが判明した。花の匂いはイチジクとコバチの種特異性を維持するための最も重要な要素であるため、コバチの寄主植物に対する識別機能も地域間で異なっている可能性があると考えられる。そこで、花の匂いに対するコバチの選好性テストを行った。その結果、石垣島コバチは石垣島植物の花の匂い、沖縄本島コバチは沖縄本島植物の花の匂いをそれぞれ好み、逆には互いに忌避することがわかった。また、石垣コバチと沖縄コバチの花選好性の違いをもたらした花の匂い物質を特定するために、花の匂いに含まれる主要な物質および石垣花と沖縄花の間で含有量の異なる物質を用いて、コバチによる選好性テストを行った。その結果、両地域のコバチが明らかに異なる選好性を示す化学物質があることが判明した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

今年度の研究遂行によって、本研究で計画していた課題の一つである「沖縄および石垣個体群のコバチが、どの花の匂い化合物を好む(または忌避する)のか?」を明らかにすることができた。また、もう一つの課題である「どの遺伝子(群)・ゲノム領域が、寄主植物の花の匂いに対する識別機能の進化に関わっているのか? 」を明らかにするために、RNA-seqによるコバチの頭部・触角の発現遺伝子の網羅的比較解析も順調に遂行している。

Strategy for Future Research Activity

今後は、「どの遺伝子(群)・ゲノム領域が、寄主植物の花の匂いに対する識別機能の進化に関わっているのか? 」を明らかにするために、沖縄本島、石垣島と台湾の3集団のコバチの頭部・触角の発現遺伝子の網羅的比較解析を行い、集団間で発現が異なる遺伝子を検出し、花のにおい物質の受容体遺伝子を含め、化学感覚系遺伝子を中心に、オオバイヌビワコバチの地域集団間の花の匂いに対する識別機能の違いをもたらす候補遺伝子の特定を目指す。また、ゲノムの比較解析を通して、地域集団間の寄主植物の花識別に関わるゲノム領域の特定を行う予定である。

Causes of Carryover

本研究を遂行するに当たって、科研費の助成金だけでは不十分であることが予想されており、研究代表者の所属機関から頂いた研究費の一部を充填する必要がある。今年度は研究機関から頂いた研究費から予定よりも若干多く使用させていただいたためである。しかし、次年度は所属研究機関からの研究費の充填がなくなるため、予定していた研究を遂行するためには、今年度残った助成金を翌年度分として請求した助成金と合わせて使用する必要がある。

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Published: 2024-12-25  

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