2023 Fiscal Year Research-status Report
ストレスがGABAニューロンを介して生殖機能を抑制するメカニズムの解明
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23K05999
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
渡部 美穂 浜松医科大学, 医学部, 助教 (10399321)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | GABA / GnRHニューロン / ストレス / クロライドホメオスタシス / 生殖 |
Outline of Annual Research Achievements |
心理的、身体的ストレスにより生殖機能が低下することはよく知られているが、そのメカニズムは明らかにされていない。その要因となるストレスにより生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)ニューロンの活動性が低下するメカニズムについて検討を進めている。GnRHニューロンへの興奮性GABA入力が生殖機能の維持に重要であることを報告しているが、ストレスによりGnRHニューロンの細胞内クロライド濃度維持機構が破綻し、GABA入力の可塑的変化が起こるか検討を行っている。GnRHニューロンから記録を行うために、蛍光を指標にGnRHニューロンを同定できる遺伝子改変マウスの作成を行った。遺伝子組換え酵素Cre 依存性にEGFPを発現するRosa-GAP43-EGFPマウスを導入し、GnRHニューロンでCreを発現するマウスと交配し、GnRH Cre:: Rosa-GAP43-EGFPマウスの作成を行った。このマウスに拘束ストレスおよび60%食餌制限ストレスを負荷し、視床下部を含むスライス標本を作成し、グラミシジン穿孔パッチクランプ法を用いてGABAの逆転電位を記録し、GnRHニューロンへのGABA入力が興奮性から抑制性に変化するか調べている。また、飢餓時に活性化されるアグーチ関連ペプチド(AgRP)産生ニューロンを人為的に活性化させた時、GnRHニューロンへのGABA入力に変化がみられるか調べるために、AgRPニューロンを人為的に活性化できるマウスの作成を行った。AgRP CreマウスとDREADDを発現するマウスを交配し、AgRP Cre::DREADDマウスを作成した。このマウスで、CNO(Clozapine-N-Oxide)投与により、AgRPニューロンでc-Fosの発現が認められ、AgRPニューロンが人為的に活性化できることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GnRHニューロンから記録を行うために、EGFP蛍光を指標にGnRHニューロンを同定できるマウスを作成することができた。このマウスを用いてGnRHニューロンよりグラミシジン穿孔パッチクランプ法により記録を行うが、この手法について電極の種類やグラミシジン濃度の変更などの改良を行い、安定して記録をとれる方法を確立できた。また、人為的にAgRPニューロンを活性化できるマウスを作成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は今年度に引き続き、拘束ストレスおよび60%食餌制限ストレスを負荷したマウスのGnRHニューロンよりグラミシジン穿孔パッチクランプ法を用いてGABAの逆転電位を記録し、GnRHニューロンへのGABA入力がストレスにより興奮性から抑制性に変化するか調べる。また、ホールセルパッチクランプ法により、GnRHニューロンからGABA性シナプス後電流を記録し、GABAニューロンからのGABA放出量、GnRHニューロンのGABAに対する感受性に変化がみられるか調べる。さらに、AgRP Cre::DREADDマウスとGnRHニューロンでEGFPを発現するマウスを交配し、AgRPニューロンを人為的に活性化させ、GnRHニューロンよりGABAの逆転電位を記録し、GnRHニューロンへのGABA入力に変化がみられるか検討する。
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Causes of Carryover |
遺伝子組換えマウスを実験に使用しているが、繁殖がうまくいかない時期があり、マウスの飼料やジェノタイピング試薬費が次年度使用となった。次年度のマウス飼料やジェノタイピング試薬の購入に使用する計画である。
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