2023 Fiscal Year Research-status Report
神経サブタイプ分化誘導技術を用いた遺伝性パーキンソン病における細胞内輸送の解析
Project/Area Number |
23K06002
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
太田 悦朗 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (60508042)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | iPS細胞 / LRRK2 / パーキンソン病 / 細胞外小胞 / 細胞内輸送 / Rab |
Outline of Annual Research Achievements |
顕性遺伝パーキンソン病(PD)の原因分子Leucine-Rich Repeat Kinase 2(LRRK2)に変異をもつPD患者は、臨床症状や発症年齢、治療薬レボドパに対する反応性が孤発性PD患者と類似した特徴を示す。また、LRRK2は孤発性PDの危険因子として報告され、PD発症機序を理解する上で重要と考えられる。近年、低分子量GTP結合タンパク質であるRab群を介したメンブレントラフィッキングの機能異常が、PD原因分子の一つであるα-Synucleinの蓄積や神経細胞死を誘発する可能性が報告されている。さらにRab群は、LRRK2による直接的なリン酸化で制御されることが報告されている。そこで研究では、遺伝性PDで近年注目のメンブレントラフィッキングの異常による細胞死機構を明らかにするために、興奮性神経・抑制性神経・ドーパミン神経など神経サブタイプ分化誘導技術を用いて、I2020T変異LRRK2をもつ遺伝性PD患者iPS(I2020T変異LRRK2-iPSC)細胞由来神経細胞の解析を行った。その結果、I2020T変異LRRK2-iPSC由来神経細胞とisogenic-iPSC由来神経細胞におけるRab群の発現強度およびpuncta数、細胞内局在の解析から、初期エンドソームのRab5、リサイクリングエンドソームのRab4、後期エンドソームのRab7で差異がみられることを確認した。また、I2020T変異LRRK2-iPSC由来神経細胞とisogenic-iPSC由来神経細胞における細胞外小胞の産生量において、差異がみられることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、予定通り研究計画Ⅰ)メンブレントラフィックの解析およびⅡ)細胞外小胞の解析を進め、細胞内輸送に関連するRabタンパク質群に関する知見が得られた為。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、エンドサイトーシスからエクソサイトーシスに至るメンブレントラフィッキングの解析、神経サブタイプにおける異常表現型の解析などを行う必要がある。
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Causes of Carryover |
(理由) 次年度の受託解析予定の費用に使用額を変更した為。 (使用計画) 前年度未使用金は、次年度の受託解析予定の費用に充てる予定である。
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