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2023 Fiscal Year Research-status Report

大脳皮質におけるトップダウンシナプスの可塑性・学習制御とその分子基盤

Research Project

Project/Area Number 23K06003
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

石川 理子  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (60547991)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Keywordsシナプス可塑性 / 大脳皮質一次視覚野
Outline of Annual Research Achievements

大脳皮質は、神経細胞同士がシナプスを介して繋がった神経回路網により情報を処理する。皮質における視覚情報の第一段階である一次視覚野は、視覚環境、経験、学習に応じてダイナミックにその機能を変化させ、個体の行動を制御する。申請者はこれまでに、発達期における視覚環境が一次視覚野の神経回路網の構築に影響を及ぼし、それにより、一次視覚野と高次視覚野間の情報のやり取りが劇的に変化することを示してきた。神経活動レベルにおいて、成熟後も一次視覚野の神経細胞は学習や体験に応じて劇的に変化することが知られているにも関わらず、一次視覚野の細胞間のシナプスは、成熟後可塑性が著しく低下することが知られている。そこで、一次視覚野の神経細胞のシナプスではなく、高次視覚野から一次視覚野へのトップダウンシナプスが、経験に変化に応じて変容する可能性が高い。本研究ではこの仮説を検証するために、視覚関連領域である脳梁膨大後部皮質(Retrosplenial cortex, RSC)から一次視覚野へのトップダウンシナプスに着目し、シナプス可塑性の特性とその役割を解明することを目的とした。これまでに、RSCにアデノ随伴ウイルスを用いチャネルロドプシンを発現させたマウスを用いて切片標本を作製し、投射先である一次視覚野2/3層の錐体細胞からパッチクランプ法によるホールセル記録を行った。RSC-V1シナプスにおいて入力と活動電位の時間差に応じて長期増強が生じること、このシナプス可塑性がNMDA受容体の活性に依存することを薬理実験により見出した。現在、ノックアウト動物を用いたシナプスの形態学的解析と電気生理学的解析を進めており、各分子がRSC-V1のシナプスの機能制御における役割の検証を行っている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究計画の提案に沿い、RSC-V1シナプスにおいてシナプス長期増強が生じることを見出した。これまでの実験系では、長期的な投射を担うシナプスにおけるシナプス可塑性を検証することは困難であった。今回、光遺伝学的手法により、大脳皮質長距離投射軸索を選択的に刺激することが可能とした。現在、RSC-V1シナプスにおいて、活動電位と入力タイミングに依存した長期増強を見出している。小脳で強力なシナプスオーガナイザーとして機能するCbln1がRSCにも強く発現していることから、今後はRSC-V1シナプスにおけるCbln1の役割に着目し研究を推進する。

Strategy for Future Research Activity

これまでの研究から、RSCとV1の2/3層錐体細胞間のシナプスが成熟後もシナプス可塑性を維持することを見出してきた。今後は、学習前後や経験に応じて、神経回路が変化するプロセスにおいて、トップダウンシナプスが果たす機能を役割を明らかにする。環境入力を受けて神経回路がどのように変化するのか、という根本的な命題に対して重要な知見が得られるものと考えられる。

Causes of Carryover

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患し入院し、学会に参加できなかった。2024年度は、参加予定である。

URL: 

Published: 2024-12-25  

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