2023 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of Non-coding RNAs Regulating the C. elegans Dopamine Pathway
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23K06013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
坂口 愛沙 大阪大学, 全学教育推進機構, 助教 (90608697)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 機能性RNA / 線虫 / ドーパミン |
Outline of Annual Research Achievements |
non-coding RNA(ncRNA)はタンパク質をコードしないRNAで,多様な生理機能に関与することが知られてきている.最近,記憶や学習といった高次神経機能における遺伝子発現や翻訳の制御にもncRNAの関与が示唆されている.しかし,膨大に存在するncRNAと記憶・学習における複雑な脳・神経系の機能を結びつけるには困難が伴う.本研究では,ゲノムサイズが小さくシンプルな神経系をもつ線虫のドーパミンシグナル伝達系を主なモデルとして,記憶・学習に関与するncRNAとその制御因子を探索し,個々のncRNAの細胞レベルでの解析を通して,記憶・学習の過程で起こる複雑な遺伝子発現制御メカニズムの解明を目指す. これまでに,記憶・学習に関与するncRNAを探索するため,線虫で匂い学習に必要であることが知られているドーパミン経路の変異体からtotal RNAを抽出し,ncRNAの一部であるSmall RNAを分離してSmall RNAシーケンスを行い,野生型に比べてドーパミン経路の変異体で発現が上昇もしくは下降しているncRNAを複数得た.今年度は,これら候補となったncRNAのうち,機能が種を超えて保存されていることが期待できるmicro RNAに焦点を絞り,RNAシーケンスの結果を定量PCRで検証した.今後は,これらの候補micro RNAがどのように記憶・学習に関与するか,発現部位の同定や変異体を用いた行動アッセイなどを用いて解析する予定である.また,micro RNAは相補的な配列をもつメッセンジャーRNA(mRNA)の発現を抑制して翻訳の阻害に働くことが知られているため,データベース等を用いて今回得られた候補micro RNAのターゲットとなるmRNAの同定も試みる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RNAシーケンスの結果を検証するための定量PCRの条件検討等に時間を要したため.
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Strategy for Future Research Activity |
線虫ドーパミン経路の変異体を用いたSmall RNAシーケンスの結果のうち,野生型と変異体の間で発現量の変化が見られたmicro RNAに注目し,引き続き定量PCRで発現量変化を検証し,候補ncRNAを絞る.また,これらの候補micro RNAがどのように記憶・学習に関与するか,発現部位の同定や変異体を用いた行動アッセイなどを用いて解析する.さらに,データベース等を用いて今回得られた候補micro RNAのターゲットとなるmRNAの同定も試みる.
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Causes of Carryover |
RNAシーケンスの結果を検証するための定量PCRの条件検討等に時間を要したため. 今後は,引き続き定量PCRでドーパミン経路の変異体と野生型の間の発現量変化を検証し,候補ncRNAを絞る予定であるため,定量PCRに必要な試薬や消耗品等を購入予定である.また,これらの候補ncRNAがどのように記憶・学習に関与するか,発現部位の同定や変異体を用いた行動アッセイなどを用いて解析する予定であるため,これらの解析に必要な試薬や消耗品等を購入予定である.
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