Outline of Annual Research Achievements |
ビタミンD3の生理作用は25-水酸化ビタミンD3とホルモン様作用を示す活性型ビタミンD3により担われている。これら生理活性体を不活性化する責任代謝酵素CYP24A1は、活性型ビタミンD3により強く誘導される。我々は、CYP24A1の代謝作用点である23、24、26(27)位および近位の22位に位置および立体選択的にフッ素原子を組込んだフッ素化25-水酸化ビタミンD3の全12種類を合成することに成功した。すなわち、新規CD環(A)~(D)をInhoffen-Lythgoe diolより合成し、A環ホスフィンオキシドとカップリングした。(A): (22R)-と(22S)-22-フルオロ体および22,22-ジフルオロ体、(B): (2 3R)-と(23S)-23-フルオロ体および23,23-ジフルオロ体、(C): (24R)-と(24S)-24-フルオロ体および24,24-ジフルオロ体、(D): 26,26,26,27,27,27-ヘキサフルオロ体と26,26,27,27-テトラフルオロ体および26,27-ジフルオロ体であり、それぞれを8-ケト体へと導き、A環とのカップリングに成功した。ビタミンD受容体(VDR)への結合親和性、ヒト骨肉腫細胞(HOS)を用いたVDRを介する転写活性およびCYP24A1に対する代謝抵抗性を測定し、それぞれを天然の25-水酸化ビタミンD3と比較したところ、フッ素化の位置、フッ素原子の数、立体化学により、それら生物活性の指標が大きく変化することを見出した。それぞれの新規合成法と共に生物活性の特長を論文発表することができた。 参考文献 F. Kawagoe, S. Mototani, K. Yasuda, A. Takeuchi, H. Mano, S. Kakuda, H. Saitoh, T. Sakaki, and A. Kittaka*. J. Org. Chem. 2023, 88 (17), 12394-12408. F. Kawagoe, S. Mototani, K. Yasuda, H. Mano, A. Takeuchi, H. Saitoh, T. Sakaki, and A. Kittaka* Synthesis of new 26,27-difluoro- and 26,26,27,27-tetrafluoro-25-hydroxyvitamin D3: Effects of terminal fluorine atoms on biological activity and half-life. Chem. Pharm. Bull. 2023, 71(9), 717-723.
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