2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel heart disease drugs based on nitric oxide production
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23K06035
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
中村 成夫 日本医科大学, 医学部, 教授 (00264078)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 恭子 日本医科大学, 医学部, 准教授 (90255381)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 心疾患治療薬 / NOドナー / アセチルコリン誘導能 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、心臓アセチルコリン産生系を活性化する物質を創製し、新規メカニズムに基づく心疾患治療薬へと展開することを目的とする。、研究代表者らは心筋細胞がアセチルコリンを産生する経路を活性化する物質が心機能を改善する薬物になり得ると考え、S-Nitroso-N-acetyl-D-penicillamine(SNAP)類縁体を系統的に合成し、より活性の高い化合物を見出すことを目指している。初年度は、SNAPのN原子を修飾するアシル基(R-CO-)のRを長い直鎖アルキル基に変えたSNVP, SNHP、分枝アルキル基に変えたSNPiP, SNBAP, SNDBP、環状アルキル基に変えたSNcHP, 芳香族に変えたSNBP, SNpTP, SNoTP, SN1NP, SN2NPなどを合成した。これらの中で、アセチルコリン誘導能が最も高かったのはSNPiPであった。他のSNAP類縁体は、いずれもSNAPよりは効果的ではあったが、SNPiPには及ばなかった。 さらに、新規に合成したこれらSNAP類縁体のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中、25℃での半減期を調べた。いずれの誘導体もSNAPの半減期より長くなっていたが、特にSNPiP、SNBAPでは10倍以上の延長が見られた。しかしながら、最も半減期が長かったSNBAPが最もアセチルコリン誘導能が高いわけではなく、半減期そのものが活性と相関があるわけではなかった。 また、PBSにヒト血清アルブミン(HSA)を加えたところ、いずれのSNAP類縁体も半減期が著しく増大した。このことから、SNAP類縁体はHSAと強く結合して、高い脂溶性の環境下に置かれることになり、そのことにより徐々にNOを放出できるのではないかと推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SNAP類縁体の合成については、比較的順調に進んでいる。PBS中での半減期の測定では興味深い結果が得られたが、必ずしも半減期が活性と相関しておらず、SNAP類縁体の高い活性には他にも理由があることが考えられる。HSAを加えることにより半減期が著しく増大したことは、NO放出がHSA存在下では非常に遅いことを示唆しており、in vivoにおける活性がPBS中のタイムスケールより長いことの説明になると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
さらにSNAP類縁体を合成するとともに、これらの物理化学的特性を詳細に検討する。具体的には、NO放出能に及ぼす、溶媒の種類の影響、pHの影響、添加物の影響などを調べることにより、さらに活性の高いSNAP類縁体の創製につなげたい。 また、D-penicillamineへの化学修飾はアシル基にこだわらず、スルホニル基やウレア構造など、幅広い誘導体へと構造展開したいと考えている。
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Causes of Carryover |
SNAP類縁体の合成について比較的順調に進んだため、再実験などを行う必要がなく試薬の使用量が想定より少なく済んだため、消耗品費に残額が生じた。また、半減期を確実に測定するためにHPLCによる検討を行う予定であったが、今年度は条件検討のみにとどまった。次年度は集中的にHPLCによる定量を行う予定であり、必要な展開溶媒やカラムなどの消耗品として繰越し分を使用する予定である。
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