2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K06040
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
池尻 昌宏 大阪大谷大学, 薬学部, 教授 (00412396)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | イミダゾリノン / イミダゾロン / クロモフォア / 芳香族複素環 |
Outline of Annual Research Achievements |
蛍光スイッチON/OFF機能(蛍光塗り消し機能)を目指したベンジリデンイミダゾリノン(BDI)誘導体の設計、ならびに合成においては、Z-異性体を用いて主にそのパラ位の置換基効果について検討した。BDI誘導体の合成については、常法を用いて数種の誘導体の合成に成功した。次に蛍光特性を評価したところ、当初の想定通り電子求引基、電子供与基の付与により、蛍光特性の著しい差が観測された。また、蛍光強度の強い誘導体を用いて、そのE-異性体について蛍光特性を評価したところ、蛍光強度に差が見られたものの、十分な差異は見られなかった。BDI誘導体においては、PCを用いたDFT計算による考察も行っている。一方、蛍光塗り替え機能を目指したジアリールメチレンイミダゾリノン(DAIN)誘導体の設計、ならびに合成においては、BDIと同様にパラ位の置換基効果による蛍光特性を評価した。DAINの合成については、常法では得られない誘導体もあったため、その合成法についても検討を行った。本手法については、まだ検討中ではあるが、有望な反応条件を見出すことに成功した。得られたDAINについて蛍光特性を評価したところ、置換基効果は見られたが、十分な蛍光強度は見られなかった。そのため、DAIN誘導体においては、パラ位置換基だけでなく、他の部位の化学修飾も必要であると考え、その骨格のチューニングも行った。過去の結果も含め、検討や考察を行い、イミダゾリノン2位への複素環の導入がDAINの蛍光強度の向上に効果的であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BDI,DAINの両化合物において、蛍光特性に対する置換基の効果が明らかになったため、次のステージの分子設計につながることが期待できる。また懸念点であったDAINの合成についても新規合成法を確立できそうな段階まで来ているため、誘導体合成の幅が広がることが期待できる。以上の点から、概ね順調と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に基づき進めていく予定である。BDI誘導体においては、オルト位やメタ位の置換アナログを合成し、その蛍光特性に及ぼす置換基効果について評価、検討を行う。DAIN誘導体においては、新規合成法の確立を目指すとともに、BDI誘導体の検討にて得られる知見をもとに新たな誘導体の設計、合成を行う。その他、イミダゾリノン2位の置換基の効果についても前年度に引き続き検討を行う。課題点として、構造修飾に用いる複素環合成法に新規性が無いため、新たな合成法の開発も進めたい。
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Causes of Carryover |
有機化学実験によるBDIやDAINの誘導体合成において、安価な試薬や基質を用いて合成に成功したことが大きな要因である。また、綿密な分子設計により、合成する誘導体数を限定できたことも一因と考えられる。次年度は助成金額に幾分余裕があると思われるため、計画通りの誘導体合成や蛍光特性評価に加え、誘導体合成の幅が広がるような新規な複素環構築法の開発も進めていきたい。
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