2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of Strongly Lewis Acidic and Nucleophilic Boron Reagents and Its Catalytic Reactions
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23K06048
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
渋谷 正俊 日本女子大学, 理学部, 准教授 (40359534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 芳彦 名古屋大学, 創薬科学研究科, 教授 (60283412)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アルキン / ホウ素エノラート / 典型元素化合物 / 多成分連結反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究開始前までにペンタフルオロフェニル基が2つ置換したホウ素エノラート(ビス(ペンタフルオロフェニル)ボロンエノラート)をフェニルアセチレンから調製する方法を確立した。加えて、このホウ素エノラートは、強いルイス酸性を持つことからアルデヒドとのアルドール反応のみならず、フェニルアセチレンとのカップリング反応も進行することを見出している。そこで本研究では、はじめに、このホウ素エノラート生成を経るアルキンとのカップリング反応の基質一般性について調べた。その結果、電子供与基が置換したフェニルアセチレンは比較的短時間で効率的にホウ素エノラートの生成とカップリング反応が進行するのに対して、電子求引基が置換したフェニルアセチレンでは、ホウ素エノラートの調製とカップリング反応のいずれも遅く、電子密度の影響を強く受けることが明らかとなった。これらの検討過程で、反応生成物の単結晶が得られたため、エックス線結晶構造解析によって二重結合の立体化学を含めた構造決定に成功した。アルキル基の置換した脂肪族アルキンではホウ素エノラートの調製がでなかったが、共役エンインを用いた反応は効率的に進行することが分かった。フェニルアセチレンや共役エンインから調製したホウ素エノラートは、反応性が高いために、ホウ素エノラート調製の原料となるアルキンとカップリング反応の求電子剤となるアルキンは同一のものである必要があった。そこで、ホウ素エノラート調製の原料とは異なるアルキンと異なるアルキンを求電子剤に用いる反応の確立を目指し検討した。その結果、イナミドから準安定なビス(ペンタフルオロフェニル)ボロンエノラートを調製できることを見出し、このホウ素エノラートを利用すると目的の異なるアルキンを用いるカップリング反応が進行することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強ルイス酸性を持つビス(ペンタフルオロフェニル)ボロンエノラートをフェニルアセチレンのみならず、エンインやイナミドからも調製できることを見出した。また、研究開始時には、ホウ素エノラートを調製する原料と同一のフェニルアセチレンとのカップリング反応であったが、異なるアルキンを使ったカップリング反応へと展開することに成功するなど、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
ここまでの研究において、イナミドから準安定なビス(ペンタフルオロフェニル)ボロンエノラートが調製可能であり、このホウ素エノラートとフェニルアセチレンとのカップリング反応が進行することを見出している。そこで、この準安定なホウ素エノラートと種々のアルキンとのカップリング反応を検討し、基質一般性などを明らかにしていく予定である。加えて、ホウ素のルイス酸性の影響を含め反応機構の詳細な解析を行う。またアルキン以外の求電子剤とのカップリング反応も広く検討し、強ルイス酸性ホウ素エノラートの特性を明らかにする予定である。これらの反応の生成物は、ペンタフルオロフェニル基を含むためフッ素含有芳香族化合物のピルディングブロックとしての有用性を示すため、生成物の誘導体化に関しても検討する予定である。 また、現在のところ、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを使ってアルキンからペンタフルオロフェニル基が置換したホウ素エノラートを発生させ、反応を検討しているが、上記の検討が終わったのちに、ペンタフルオロ基が置換していない強ルイス酸性ホウ素エノラートの調製法も確立する予定である。
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Causes of Carryover |
準安定なビス(ペンタフルオロフェニル)ボロンエノラートの調製に成功し、その条件最適化を行っていたため、予定より試薬購入量が少なかった。本年度、この反応の基質一般性を広く検討する際に繰越分を使用する予定である。
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