2023 Fiscal Year Research-status Report
がん細胞被認識強化をもたらす未知生体内標的分子の同定と創薬基盤の構築
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23K06051
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
中山 淳 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 講師 (60743408)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺町 順平 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (20515986)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 多発性骨髄腫 / がん免疫 / 天然物 / マクロライド / 全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん免疫療法は、がん治療における第四の方法として期待されており、すでに免疫チェックポイント阻害剤を中心にがん治療領域で大きな成果を上げている。その一方で、高額な医療費により医療財政の逼迫が解決すべき課題である。そのため、治療に用いる抗体の量を減らしつつ、治療効果を高められるような併用薬剤の開発は上記の課題を解決するための一助となる。これまでに申請者は多発性骨髄腫に対して有効な薬剤開発を行う中で、新規のマクロライド化合物ががん免疫を増強させる効果があることを示唆する結果を得た。その詳細な作用メカニズムを解明することで、新たな免疫賦活活性分子の合理的設計が可能となる。そこで、新規マクロライドの化学プローブ化によるpull-downアッセイを行い、生体内標的化合物の同定を行うことを計画した。2023年度は、生物活性に影響しないと考えられる芳香環メチルエーテルをプロパルギルエーテルへと変換した化学プローブの合成検討を行った。これまでの新規マクロライド合成経路では、合成終盤でプロパルギル基を導入することは困難であった。そこで、プロパルギル基の導入を合成序盤と中盤の二つの経路で検討したところ、合成中盤での導入が効率的であることを見出した。そこから数工程の変換によって化学プローブ合成を達成した。合成した化学プローブに関して多発性骨髄腫細胞を用いた細胞傷害活性試験を実施した。その結果、化学プローブは親化合物と同等の生物活性を維持していることを確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画で予定していた化学プローブの合成を達成するとともに、細胞傷害活性が維持できていることを確認することができたため。現在は、pull-downアッセイを効率的に実施するための多機能リンカーの開発を行っているが、すでにpull-downアッセイを実施するのに利用できるリンカー合成は達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、pull-downアッセイに利用できる多機能性リンカー合成を検討している。一方で、すでに利用できるリンカーも合成していることから、事前に多発性骨髄腫細胞破砕液を利用したpull-downアッセイの検討を行う。
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Causes of Carryover |
予定していた学会参加ができなかったことに加えて、論文投稿時の英文校閲費が想定よりも安く抑えることができたため。
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Research Products
(12 results)