2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel macrocyclic BACE1 inhibitors for preventive or therapeutic agents for Alzheimer's disease
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23K06058
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
小林 数也 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (80647868)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / BACE1 / プロテアーゼ阻害剤 / ヒドロキシエチルアミン / 大環状阻害剤 / 膜透過性 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、阻害活性の向上を目指した架橋構造の最適化研究と、膜透過性の向上を目指したP4位構造の最適化研究について並行して実施した。 (1)架橋構造の最適化検討においては、3-ヨードフェニルアラニン誘導体を出発原料として合成したP1フラグメントを基に、架橋部にベンゼン環を有する13および14員環の大環状誘導体の合成を検討した。13員環誘導体の合成では、P4位の構造を削除し構造を簡略化した誘導体の合成を達成した。しかし、阻害活性評価を行ったところ、プレリミナリーなデータではあるものの阻害活性の大幅な低下が認められた。14員環誘導体の合成では、副反応を抑制することを目的として、ヒドロキシエチルアミン部位を保護した誘導体を用いた合成ルートを検討し、環化前駆体までの合成を行った。本合成ルートでは、期待通り副反応が抑制され、従来のルートと比較して縮合反応が効率的に進行することを確認した。 (2)P4位構造の最適化検討では、グルタミン酸からアミノ基を取り除いたグルタル酸、および炭素鎖が1炭素短いコハク酸を縮合した誘導体の合成を行い、活性評価を行った。その結果、グルタル酸を導入した誘導体では親化合物と同程度の活性が維持されたことから、カルボキシ基が活性発現に重要であることが示された。一方、コハク酸を導入した誘導体では、活性が5倍程度低下したことから、カルボキシ基は環上のアミノ基から4原子以上離れている必要があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)架橋構造の最適化研究では、架橋部にベンゼン環を有する13員環誘導体の合成を達成した。続く14員環誘導体の合成では、ヒドロキシエチルアミン部位を保護した誘導体の合成法を確立し、本誘導体へのアミノ酸の縮合反応を検討した。その結果、これまでよりも高い収率で反応が進行することを確認でき、効率的に環化前駆体を得ることができた。 (2)P4位構造の最適化研究では、P4位にグルタル酸およびコハク酸を導入した誘導体の合成を行い、活性評価を行った。その結果、グルタル酸の導入では活性は維持されるが、マロン酸では活性が5倍程度低下することを明らかにした。大環状中間体の再合成が必要になったため、誘導体合成を十分に進めることはできなかったが、P4位側鎖カルボキシ基の活性への寄与が明らかとなり、今後の検討の筋道を見出すことができたと考えている。 以上の点から、本年度の研究はおおむね順調に進行したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)架橋構造の最適化研究では、引き続き14員環誘導体の合成を検討する。まずP4位を削除し構造を簡略化した誘導体の合成を目標として、環化条件およびオキサゾリジノン保護基の脱保護条件について検討を行う。次に、得られた最適条件を用いて、P4位にグルタミン酸を導入した誘導体を合成し、アリール型架橋構造の導入による阻害活性への影響を明らかにする。並行して、P3側鎖へ置換基を導入した誘導体の合成の検討を行い、最適な架橋構造の探索を進める。 (2)P4位構造の最適化研究では、P4位のカルボキシ基と大員環との間のリンカーの長さ、および構造について検討を行う。具体的には、アジピン酸、イソフタル酸、3,3-ジメチルグルタル酸を導入した誘導体を合成し、活性評価を行う。また、カルボキシ基のアミド基およびテトラゾリル基への変換も合わせて検討する。高活性誘導体については膜透過性をPAMPAアッセイにて評価し、置換基の位置および種類が膜透過性に及ぼす影響についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 本年度は、主に本研究課題に取り組む前から合成していた中間体を利用して誘導体合成を展開したため、予定していたよりも化学合成に用いる試薬の購入量が抑えられた。また、架橋構造の最適化研究においては、14員環誘導体の合成まで進めることができなかったため、活性評価試験に関する支出が抑えられ、次年度使用額が生じた。 (使用計画) 次年度は合成中間体の再合成が必要となるため、次年度使用額は当初予定通り化学合成用試薬と活性評価に関する費用として使用する。翌年度分として請求した助成金は、得られた高活性誘導体の構造解析、膜透過性評価、及びそれらの情報をもとにした更なる誘導体合成と活性評価のための費用として使用する。当初予定から使用用途について大きな変更はない。
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