2023 Fiscal Year Research-status Report
新規2型糖尿病治療法開発のためのDGKδの骨格筋・褐色脂肪組織形成機構の解明
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23K06096
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
堺 弘道 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (00375255)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ジアシルグリセロールキナーゼ / 骨格筋 / 筋形成 / 筋再生 / 褐色脂肪組織 / 2型糖尿病 |
Outline of Annual Research Achievements |
2型糖尿病の改善のためには,食生活の乱れや運動不足により低下した骨格筋の機能(インスリン感受性・グルコース取り込み能)と量の回復,そして肥満の改善が重要である.以前の研究は,ジアシルグリセロールキナーゼδ(DGKδ)が骨格筋細胞におけるグルコースの取り込みを制御することを明らかにしている.そこで,本研究はDGKδが骨格筋形成(筋量の回復)や肥満改善にどのように関わっているかを明らかにすることを目的とした. Myf5は骨格筋前駆細胞と褐色脂肪前駆細胞に発現する.そこで,Myf5-CreマウスとDgkdflox/floxマウスを用いて,骨格筋及び褐色脂肪組織特異的なDGKδ欠損マウスを昨年度までに作製した.今年度においては本マウスの解析を進め,5週齢の雄マウスにおいて体重が4.5%減少し,16週及び24週齢の雄マウスにおいてはそれぞれ7.9%,7.8%に減少することを示した.また,この時,骨格筋量(前脛骨筋,長趾伸筋,腓腹筋,ヒラメ筋量の総和)についても5週齢で6.7%,24週齢で10%以上週齢依存的に減少することを見出し,DGKδ欠損が筋発達に影響することを見出した.また,肩甲骨付近に存在する褐色脂肪組織の量も両週齢において10%以上減少する傾向を示した. さらに,DGKδの欠損における骨格筋(前脛骨筋)への影響を分子レベルで評価した.しかし,5週及び24週齢のマウスにおいては分化マーカー(myogeninなど)の発現量は低く,十分な解析が困難であったため,カルジオトキシンを用いて前脛骨筋に障害を与え,筋修復への影響を調べた.その結果,投与5日後のDGKδ欠損マウスにおいて,筋形成(再生)のマーカーであるeMyHC,myogenin,β-actinの発現量がそれぞれ31,17,21%減少することを明らかにした.これらの結果は,DGKδ欠損は筋障害からの再生を抑制することを示している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度においては,DGKδ欠損マウスの骨格筋への影響を評価し,体重依存的に骨格筋量が減少すること,そして,生化学的アプローチは,DGKδ欠損は筋障害からの回復を抑制することを示した.従って,今年度における進捗は「おおおむね順調に進展している」とした.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究において,DGKδ欠損マウスの肩甲骨付近の褐色脂肪組織の量が減少する傾向を示した.そこで,次年度はDGKδの褐色脂肪組織における役割について分子レベルで検討を行い,肥満との関連性について評価を行う予定である.一方で,DGKδはジアシルグリセロール(DG)をリン酸化してホスファチジン酸(PA)を産生する酵素であり,生体内には50種以上の分子種が存在するとされる.従って,DGKδはどのDG,PA分子種を代謝・産生するのかを,DGKδ欠損マウスの骨格筋及び褐色脂肪組織を用いて明らかにする.また,その代謝・産生によって制御される分子機構についても検討を行う.さらに,DGKδの発現を調節(増加)させた時には,DGKδ欠損マウスで得られた変化とは逆になることを明らかにしていく予定である.
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Causes of Carryover |
今年度はDGKδの骨格筋における役割について検討を行い,おおむね順調な結果を得た.そのため,予定していた物品等の購入については効率的に行うことができた.しかし,次年度以降には,褐色脂肪組織における役割など,多くの課題を検討する予定であり,従って,生じた次年度使用額についてはそれらの研究遂行のために必要であり,適切に使用する.
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