2023 Fiscal Year Research-status Report
Molecular Basis for Species-specific Activation of TRPA1
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23K06105
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
神野 透人 名城大学, 薬学部, 教授 (10179096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香川 聡子 横浜薬科大学, 薬学部, 教授 (40188313)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 環境化学物質 / フタル酸エステル類 / TRPA1 / 種差 / in silico解析 / ヒト化マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、フタル酸モノエステル類などで観察されるTransient Receptor Potential Ankyrin 1 (TRPA1) チャネル活性化の顕著な種差について、その原因となる分子構造をアミノ酸レベルで解明するとともに、in silico解析によりタンパク質構造的な特徴を明らかにすることである。普遍的な環境汚染物質であるフタル酸ジ(2-エチルヘキシル) の活性代謝物であるモノエステル体 (MEHP) 類は、マウスTRPA1 (mTRPA1) と比較して100倍以上の親和性でヒトTRPA1 (hTRPA1) を活性化する。これは、今までに報告されているメントールなどとは全く異質な作用様式の種差であり、種差に寄与する分子構造の解明は、TRPA1依存的な有害作用に関するリスク評価のみならず、TRPA1を標的とする創薬や副作用の回避にも貢献できるものと考えられる。 種差に寄与する分子構造の解明では、ヒトとマウス間で保存されていないInterfacial Cavity領域のアミノ酸残基を置換したhTRPA1キメラ体を作成し、MEHPによる活性化を比較、検討した。その結果、Interfacial Cavityの差異がMEHPによる活性化の種差を生じて一因であることが明らかになった。In Silico解析では、Protein Data BankおよびAlphaFold Protein Structure Databaseに収載されているTRPA1の立体構造をもとに、MEHPをリガンドとしてドッキングシミュレーションを行ったが、種差を説明できる決定的な要因を見出すことはできなかった。さらに、MEHPによる種特異的なTRPA1活性化の毒性学的な意義を明らかにする目的で、CRISPR/Cas9を用いてhTRPA1 cDNAをノックインしたTRPA1ヒト化マウスについて、各組織のhTRPA1 mRNA発現量をSYBR Green RT-PCRで定量し、後根神経節、三叉神経、十二指腸、空腸および回腸でhTRPA1 mRNAが発現していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TRPA1活性化の種差を生じるKeyとなるアミノ酸残基の同定に成功した。このアミノ酸変異にin Silico解析を適用することによって、次年度以降、構造的な特徴を明らかにできるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
MOEおよびMF myPrestoを用いて、TRPA1変異体とMEHPのドッキングシミュレーションを進め、結合部位を明らかにする。Virtual Library に対してリガンドスクリーニングを実施し、種差を示す可能性のある候補化合物をin vitroアッセイで検証する。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた解析用ソフトウェアが不要となったため、次年度使用額が発生した。繰り越し分は次年度に当該ソフトの購入・使用料に充当する。
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