2023 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリア局在ホスファターゼによるミトコンドリア機能とストレス応答の制御
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23K06117
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
武田 弘資 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (10313230)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / ストレス応答 / タンパク質リン酸化 / プロテインホスファターゼ / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
エネルギー産生における重要性もさることながら、細胞内代謝の中枢としてのミトコンドリアの重要性があらためて注目されており、その機能の低下ないし不全がさまざまな疾患の発症あるいは増悪因子となると考えられている。よって、ミトコンドリアの傷害や機能低下の程度を的確に感知し、その情報を細胞全体へと正確に伝えることで適切な応答を誘導する機構が細胞の恒常性維持においてきわめて重要である。我々は、その機構を担う分子としてミトコンドリア局在プロテインホスファターゼPGAM5に着目して研究を進めている。PGAM5の分子機能を解析する上でのこれまで課題は、PGAM5のホスファターゼ活性を阻害する特異的な化合物が見出されていないことであった。そのため、他の研究グループからの報告も含め、PGAM5ノックアウトマウスの様々な表現型が報告されているが、その表現型に関わるPGAM5の機能が、自身のホスファターゼ活性に依存したものであるかを明らかにすることが非常に困難になっていた。そこで、独自に構築したin vitroにおけるPGAM5のホスファターゼ活性測定系を用い、長崎大学海洋微生物抽出物ライブラリーのスクリーニングを行った結果、複数のヒット抽出物が得られた。その一つを大量調製し、PGAM5に対する阻害活性を指標に活性成分の絞り込みを行い、最終精製画分の詳細な解析を行った結果、新規の化合物Xが見出された。一方、本研究では定常状態や弱いストレス時におけるPGAM5の役割に着目しており、その役割を明らかにするためには、わずかなミトコンドリア動態の差異も正確に捉えることが必要である。そのためのツールとして、ディープラーニングを用いた独自のオルガネラ解析ツールを新たに開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、PGAM5の定常状態、代謝ストレス、炎症誘導ストレスにおける役割、とくに比較的弱いストレスにおける役割を明らかにすることを目指している。その際には、分子、オルガネラ、細胞、それぞれのレベルでの微細な変動を捉える必要があり、そのためのツールを自ら開発することが重要であった。その点で、PGAM5に対する特異的阻害剤となりうる化合物を見出したこと、および独自のオルガネラ解析ツールを開発したことは大きな成果であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
PGAM5阻害剤の探索、同定、オルガネラ解析ツールの開発を行ったため、PGAM5の分子機能解析についてはやや遅れているが、内容としては当初の予定通り研究を進める。PGAM5阻害剤については、周辺化合物の合成も進めており、より特異性と活性の高い化合物の取得も目指している。
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[Journal Article] Identification of azalamellarin N as a pyroptosis inhibitor.2024
Author(s)
Takouda, J., Nakamura, M., Murasaki, A., Shimosako, W., Hidaka, A., Honda, S., Tanimura, S., Ishibashi, F., Kawasaki, N., Ishihara, J., Fukuda, T., and Takeda, K.
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Journal Title
Biol. Pharm. Bull.
Volume: 47
Pages: 28-36
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Screening and synthesis of tetrazole derivatives that inhibit the growth of Cryptococcus species.2023
Author(s)
Nakada, N., Miyazaki, T., Mizuta, S., Hirayama, T., Nakamichi, S., Takeda, K., Mukae, H., Kohno, S., and Tanaka, Y.
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Journal Title
ChemMedChem
Volume: 18
Pages: e202300157
DOI
Peer Reviewed
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