2023 Fiscal Year Research-status Report
Spatial-temporal dendritic development and its significance in pathology
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23K06119
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
河野 孝夫 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (70581742)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 大脳皮質 / 神経細胞移動 / モータータンパク質 / 樹状突起 |
Outline of Annual Research Achievements |
大脳皮質は6層の構造からなり、胎生期に生まれた神経細胞が移動し、適切な場所に配置されることで形づくられる。大脳皮質層構造の異常は統合失調症やてんかんなどの発症に寄与すると考えられている。そのため、層構造がどのようにつくられるかを明らかにすることは、精神神経疾患の理解や診断に重要である。これまでに申請者は、分泌タンパク質リーリンが新規受容体ニューロピリン1との結合を介して、特に生後の浅層形成を制御することを明らかにした。しかし、その詳細な分子メカニズムは未解明である。 申請者は、浅層神経細胞に高発現する分子として、モータータンパク質の一種であるミオシンVa(Myo5a)を同定し、Myo5aの機能低下がニューロピリン1の膜上発現を減少させる知見を得た。そこで本研究ではMyo5aに着目し、時空間特異的な大脳皮質形成メカニズムを明らかにすることを目的とした。大脳皮質におけるMyo5aの発現量および局在を調べた。その結果、Myo5aの発現量は胎生期に比べて生後で多いこと、生後7日目の大脳皮質では浅層神経細胞、および辺縁帯にMyo5aが強く発現することが明らかとなった。またFLAGタグを融合させたMyo5aを浅層神経細胞に発現し、抗FLAG抗体を用いてMyo5aの細胞内局在を調べたところ、Myo5aは尖端樹状突起によく局在することがわかった。浅層神経細胞でのMyo5aの重要性を明らかにするために、子宮内電気穿孔法を用いてMyo5aのドミナントネガティブ変異体(内在性Myo5aのcargo輸送機能を阻害する変異体)を浅層神経細胞に導入した。その結果、導入細胞は正常な位置まで移動できず、やや脳室寄りに配置することがわかった。以上から、Myo5aは生後大脳皮質における浅層形成に重要な役割を持つことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生化学的および組織学的解析をおおむね順調に行うことができ、Myo5aの発現パターン、浅層神経細胞の配置におけるMyo5aの重要性を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き組織学的解析を行い、神経細胞の配置および樹状突起形態について定量的な解析を行う。また、Myo5aによるニューロピリン1発現制御メカニズムに関する生化学的実験を重点的に進め、リーリンシグナル経路とMyo5aがどのようにクロストークするかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
実験に使用するマウス数を削減することができ、若干の余剰金が発生した。次年度のマウス購入費に充てる。
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