2023 Fiscal Year Research-status Report
カルパインの酵素活性が乾癬病態形成に果たす役割の解明
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23K06126
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
秦 勝志 公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 主席研究員 (10392375)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | カルパイン / 乾癬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、難治性皮膚炎である乾癬の発症に、どのカルパインがどのように関与するのかを明らかにすることを目的とする。2023年度は、(1)カルパインの活性異常が乾癬様皮膚炎を引き起こすメカニズムの解析と、(2)ヒト乾癬生検を用いたカルパインの遺伝子変動解析を進めた。 まず(1)について、乾癬様皮膚炎をまだ発症していない生後0日のCapn8Tgマウス皮膚のマイクロアレイ解析を行った。その結果、野生型マウスコントロールと比較して、過増殖性ケラチンであるKrt6BとKrt16、表皮ケラチノサイト由来の様々な産生因子の遺伝子発現が上昇する一方、乾癬発症に大きく寄与するTh17細胞及びγδT細胞による過剰な免疫応答を示すサイトカイン群の発現に変動は見られなかった。本結果から、Capn8Tgマウスでは、表皮ケラチノサイトの機能異常が引き金となって乾癬様皮膚炎の発症に至ることが示唆された。次に(2)について、ヒトの健常者および乾癬患者の皮膚生検を用いて、定量PCRによる全カルパイン遺伝子の発現変動解析を行った。検体数が少ないため統計的有意差を見出すには至っていないが、これまでのところCAPN15の発現が上昇傾向にある解析結果が得られている。CAPN15の発現上昇による過剰な活性が乾癬を引き起こす可能性が示され、今後さらに検体数を増やして解析を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、カルパインによる乾癬発症のメカニズムを解明する上で方向性を見出すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、CAPN8発現による表皮細胞の機能異常の詳細を明らかにするために、マウス表皮初代培養細胞または細胞株を用いた解析を中心に進める。
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Causes of Carryover |
本年度は費用がかかるマウスや培養細胞を用いた解析が少なかったため予定よりも使用額が抑えられたが、次年度はこれらを用いて、CAPN8による表皮細胞の機能解析を中心に進めるため、そのための消耗品費に充てる計画である。
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