2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the infection mechanism by the pathogenic fungus Trichosporon based on the identification of virulence regulators
Project/Area Number |
23K06141
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
松本 靖彦 明治薬科大学, 薬学部, 准教授 (60508141)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 真菌 / 病原性因子 / カイコ / トリコスポロン・アサヒ |
Outline of Annual Research Achievements |
トリコスポロン・アサヒは、環境中に広く存在する真菌である。また、トリコスポロン・アサヒが免疫不全患者に重篤な深在性真菌症を引き起こすことから病原真菌としても認知されている。しかし、トリコスポロン・アサヒの感染機構に必要な病原性関連因子は不明である。これまでに我々は、カイコ感染モデルを用いたトリコスポロン・アサヒの病原性の評価系、およびku70遺伝子欠損株を親株とした迅速簡便な標的遺伝子の欠損株を樹立する技術が構築している。本研究では、これらの技術を用いて、トリコスポロン・アサヒの病原性に必要な遺伝子の同定に基づく病原性調節機構の解明を目的として研究を行った。 令和5年度において、p38 MAP kinaseの相同因子であるHog1に着目して研究を行なった。トリコスポロン・アサヒのHog1をコードする遺伝子であるhog1遺伝子を欠損させたhog1遺伝子欠損株を樹立した。トリコスポロン・アサヒのhog1遺伝子欠損株は高温感受性、酸化ストレス感受性、細胞膜ストレス感受性などの様々なストレスに対する感受性を示した。また、hog1遺伝子欠損株の菌糸は親株より長く、菌糸過形成の表現型を示した。さらに、カイコ感染モデルを用いた検討により、hog1遺伝子欠損株のカイコに対する病原性が低下していることが明らかになった。これらの表現型は、hog1遺伝子欠損株にhog1遺伝子を再導入した復帰株において抑圧された。以上の結果から、Hog1がトリコスポロン・アサヒのストレス抵抗性や病原性に関わる分子であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的であるトリコスポロン・アサヒの病原性に関わる分子としてHog1を同定することができた。この研究スキームを基本として、その他の病原性に関わる分子が同定できることが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度の研究から、分子遺伝学的にトリコスポロン・アサヒの病原性因子の解析が可能であることが明らかになった。この研究手法でその他のストレス応答関連因子やシグナル伝達因子の遺伝子欠損株を樹立して、病原性に大きく寄与する病原性因子の同定を目指す。
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Causes of Carryover |
令和5年度に遺伝子欠損株の樹立と解析する候補となる因子が見つかり、複数の遺伝子欠損株の樹立を次年度に行うことに変更した。次年度に多くの遺伝子欠損株を樹立する予定になっており、次年度に多く使用できるようにした。
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