2023 Fiscal Year Research-status Report
PDI関連タンパク質の生体内発現機構を指標とした新たな薬剤評価系の構築
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23K06143
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
堀部 智久 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (20467468)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 分子シャペロン / 生物発光 / 薬剤評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ゲノム編集技術により作出されたホタルルシフェラーゼ(fLuc)および、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子をノックインしたメダカを用いて、蛍光観察および、発光顕微鏡を用いた一細胞レベルでのイメージング手法により、プロテインジスルフィドイソメラーゼ(PDI)およびPDI関連タンパク質の生体内発現機構の解析を行う。さらに、薬剤添加による発生段階でのこれらタンパク質の発現様式への影響を調べることで、PDIおよびPDI関連タンパク質の生体内発現様式を指標とすることの有用性および、新たな生殖発生毒性試験を含む薬剤評価系構築の可能性を提示することを目的としている。 R5(2023)年度は、主に下記の研究内容を行った。 PDIおよびPDI関連タンパク質の発生段階における発現様式 PDIおよびPDI関連タンパク質(PDI、P5、PDIRおよび、TMX)遺伝子の下流にfLuc-GFP遺伝子をノックインしたメダカをwild typeと掛け合わせてヘテロノックイン個体(KI/WT)として系統維持を行うと共に、これら個体から得られたヘテロノックイン受精卵(KI/WT)を用いて、蛍光および発光の観察、定量を行い、各種タンパク質の発生段階における発現様式を確認した。蛍光によりヘテロノックイン受精卵の選抜を行い、蛍光強度が弱いノックイン個体に対しては、孵化後、成長させた段階で、PCRによるジェノタイピングにより選抜を行った。これらヘテロノックイン受精卵を用いた解析の結果、各種タンパク質の発現量が発生段階で異なることが確認された。また、発生初期と後期において、発現様式の変化も見受けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R5(2023)年度に予定していたfLuc-GFPノックインメダカを用いて、PDI関連タンパク質の発生段階におけるおおよその発現様式を確認することができ、観察を行ったこれらタンパク質の発現様式において、明確な差異が見受けられる結果が得られている。また、成魚を用いた、主要臓器の発現様式も確認が進んでいるため、ここまで、概ね順調に進行していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、ノックインメダカの受精卵を用いた発生段階におけるPDIおよびPDI関連タンパク質の発現様式を蛍光および生物発光により観察、定量を行い、各タンパク質の発現様式を調べると共に、成魚においては、発現が見られた主要臓器の性差(オス、メスでの発現量の差異)、老若(若いメダカと老いたメダカ)の発現様式を調べていく予定である。また、発現様式が確認できた個体に対しては、受精卵を用いた薬剤処理時における発現様式への影響も検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
理由; R5(2023)年度に予定していた各種ガイドRNA、プライマーなどの合成およびベクター構築に必要な試薬類、さらには、発光および蛍光観察に必要な消耗品を当初の想定よりもおさえることができたため。 使用計画; R6(2024年度)の研究費の使用としては、主に次の項目で使用予定である。 長時間観察を安定的に持続させるための蛍光実体顕微鏡のLED光源ユニット、発光顕微鏡によるイメージング手法に必要な試薬類および、消耗品、レポーターベクター構築のための各種キット類、メダカ、ゼブラフィッシュなど小型魚類飼育のための保守費用(飼育設備含む)、その他必要な消耗品(プラスチック類など)。さらには、学会発表のための費用(旅費など)を予定している。
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