2023 Fiscal Year Research-status Report
腫瘍組織内自然免疫細胞を利用した治療抵抗性腫瘍に対する治療戦略の開発
Project/Area Number |
23K06154
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
松永 慎司 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30704910)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 低酸素誘導因子 / 腫瘍 / 自然免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はプロリン水酸化酵素阻害剤(PHi)により腫瘍内MΦに生じる腫瘍抑制作用の詳細機序を明らかにすることを目的としている。本年度はこれまで得られたPHi処置により腫瘍内MΦにて発現上昇する腫瘍抑制性候補遺伝子の抑制作用について検討を行った。腫瘍に対し候補分子の投与を行ったところ腫瘍増大抑制が認められた。また、PHiを投与した時と同様に腫瘍組織内血管の密度の低下が観察された。しかしながら、PHi投与で観察されていた腫瘍内血管の血管腔の拡大が認められなかった。また、PHi投与により血流灌流性が乏しい腫瘍組織内血管は灌流性の改善を認めており、候補分子投与においても同様にPHi投与時類似した血液灌流性の改善が認められた。この候補分子投与はPHi投与時に観察された腫瘍組織への影響と同様の影響が部分的に認められたことからPHiにより観察される腫瘍増大抑制に関与していることが推察された。そこで、腫瘍内MΦにおいて本候補分子がHIF-1、HIF-2どちらにより制御されているか検討するために、MΦ特異的HIF-1欠損およびHIF-2欠損マウスより作製したBMDMにより検討を行い、HIF-1欠損により遺伝子発現の低下が認められ、発現調節にHIF-1が関与する可能性が示唆された。そこで、MΦ特異的HIF-1欠損マウスにおける腫瘍進展の影響の検討を行った。MΦ特異的HIF-1欠損マウスと野生型マウスでは腫瘍進展に有意差は認めないが、PHi投与ではHIF-1欠損マウスでは腫瘍増大抑制が認められないことから、本候補分子が寄与している可能性が考えられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね研究計画書に記載した研究計画どおりに進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度も研究実施計画書に記載した計画に沿って研究を行い、PHi投与による腫瘍抑制に寄与すると考えられる候補遺伝子について評価、検証を行い、MΦによる腫瘍抑制機序について明らかにしていく
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Causes of Carryover |
試薬価格の高騰に伴い試薬、消耗品の見直しおよび購入先の見直しなどを行った。 但し、計画上使用する試薬は変わらないため、計画予算は大幅に上昇することになるため、次年度使用額はそこに割り当てる。
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