2023 Fiscal Year Research-status Report
脊髄内TNF-α変換酵素による細胞外領域シェディングを介した疼痛制御機構
Project/Area Number |
23K06168
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Research Institution | Tohoku Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
根本 亙 東北医科薬科大学, 薬学部, 講師 (80635136)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹野 孝一 東北医科薬科大学, 薬学部, 教授 (20207260)
中川西 修 東北医科薬科大学, 薬学部, 准教授 (50296018)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | TNF-α変換酵素 / 糖尿病 / 神経障害 / db/dbマウス / 疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は腫瘍壊死因子 (TNF-α) 変換酵素 (TACE) の神経障害性疼痛における役割の解明を目的とし,膜結合型プロテアーゼを介した新たな疼痛発現機構の解明を目指したものである.実験には2型糖尿病モデルであるレプチン受容体変異型db/dbマウスを使用し,このマウスにおいて認められる痛覚過敏に対する脊髄内TACEの関与を検討した. db/dbマウスは7週齢から10週間程度の間,高血糖に依存した痛覚過敏,すなわち有痛性糖尿病性神経障害 (PDN) を呈した.PDN下にある9週齢のdb/dbマウスの脊髄背側部では,TACEの前駆体であるpro-TACEおよび成熟型であるmature-TACEの発現量がいずれも顕著に増加していた.一方で,内因性TACE阻害因子であるtissue Inhibitor of metalloproteinases 3 (TIMP-3) の発現量に変化は認められなかった.従って,db/dbマウスの脊髄ではTACEが活性化状態にあることが明らかとなった. TACEは70種類以上の膜タンパク質の分解に寄与することが知られている.これらの中でも,脊髄内において疼痛伝達に関与することが知られているいくつかの膜タンパク質の発現量を解析した.野生型 (WT) およびdb/dbマウスの脊髄から細胞膜画分を濃縮したサンプルを作製し,TACEの標的分子として知られている各種膜タンパク質の発現量を検討した.その結果,interleukin (IL)-6 receptors,Heparin-binding EGF-like growth factors (HB-EGF),TNF-α receptor 1/2の発現量に変化は認められなかったものの,angiotensin-converting emzyme 2 (ACE2) の発現量が顕著に低下していることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,有痛性糖尿病性神経障害 (PDN) 下のdb/dbマウスを用いて,TACEの標的となり得る分子のスクリーニングまで研究を進めることが出来た為.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は以下のようなスケジュールで研究を進める予定である. 2024年度:TACEの標的分子の中から発現量の変化が認められたACE2に着目し,脊髄内のどの細胞腫で発現量が変化しているのか詳細な解明を試みる.具体的にはdb/dbマウスおよびWTマウスの脊髄スライスを作製し,TACEやACE2を神経やグリア細胞の特異的マーカーと共染色した後,それぞれの細胞数をカウントする.また,疼痛反応に対するTACEの関与を解明する目的で,TACEに対する阻害薬やsiRNAを脊髄クモ膜下腔内へ投与した際の疼痛変化も解析する.尚,疼痛試験にはvon Frey法およびHargreaves法を用いることで,それ ぞれ接触性および熱性痛覚過敏を測定する. 2025年度:前年度の試験においてTACEに対する阻害薬やsiRNAに鎮痛効果が認められた場合,これらの薬物によりTACE活性を抑制した際のACE2の発現量をウエスタンブロット法により解析する.また,TACEは活性酸素種 (ROS) 依存的に活性化されることから,ROS阻害薬であるN-アセチルシステインをdb/dbマウスやSNIマウスへ投与した際の疼痛に対する変化と,脊髄におけるTACEの発現に及ぼす影響を解析する.
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Causes of Carryover |
年度末近くに発注した試薬の納期が輸入等の影響により遅れた為、物品費が予定した金額まで発生しなかった。次年度は、今回の繰越金を試薬等の物品購入費に充て使用することを予定している。
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Research Products
(5 results)