2023 Fiscal Year Research-status Report
薬用植物における機能性含硫黄成分の生合成ゲノム基盤の解明と応用
Project/Area Number |
23K06178
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
吉本 尚子 千葉大学, 大学院薬学研究院, 講師 (10415333)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 生合成 / 遺伝子 / 天然薬用資源 / 植物 / 含硫黄成分 |
Outline of Annual Research Achievements |
システインスルホキシド誘導体(CSOs)は、ヒガンバナ科ネギ属およびツルバギア属、ノウゼンカズラ科ニンニクカズラ属植物等の天然薬用植物資源が含有する機能性含硫黄成分である。本研究では、これらの植物におけるCSOs生合成のゲノム基盤を解明し有効利用することを目的として、ディープ・トランスクリプトームデータやゲノムデータの生物情報学的解析によりCSOs生合成に関わる酵素遺伝子群を同定し、in vitro、in planta、in vivo解析系を用いてCSOs生合成における機能を解析する。得られた知見は、合成生物学的な手法によるCSOs生合成システムの合理的再構築と化学的多様性のエンジニアリングや、ゲノム編集による基原植物のCSOs生合成能の改変に応用する。令和5年度に行った研究内容は以下のとおりである。1.ネギ属植物を中心に、内的・外的環境因子(細胞の分化・脱分化、病傷害シグナル伝達物質等)によるCSOs生合成への影響を解析した。2.推定生合成基質、推定生合成経路阻害剤、硫黄のアナログ元素であるセレンをネギ属植物やそのカルスに投与した結果、ネギ属植物のCSOsの生合成経路は従来提案されていた推定経路とは一部異なる可能性が示された。3.前項1および2の結果とディープ・トランスクリプトームデータ、さらに利用可能な植物については公開ゲノム配列を利用して、推定CSOs生合成酵素遺伝子を探索した。CSOs生合成に関わる可能性が特に高いと考えられる遺伝子については、翻訳領域全長を含むcDNAのクローニングを進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
内的・外的環境因子によるCSOs生合成への影響や、CSOs生合成経路の解析を行い、新規の知見を得ることができた。また、ディープ・トランスクリプトームデータやゲノムデータの生物情報学的解析によりCSOs生合成に関わる酵素遺伝子群を探索した。それらのうち特にCSOs生合成に関わる可能性が高いと判断された遺伝子については、翻訳領域全長を含むcDNAのクローニングを行った。このため、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、令和5年度に引き続き、推定CSOs生合成酵素遺伝子の探索とcDNAクローニングを進める。クローニングした遺伝子については、順次、機能解析を進める。また、令和5年度の研究結果から、CSOs生合成経路についてはさらに検討が必要と考えられるので、令和6年度も引き続き検討する。
|
Causes of Carryover |
令和5年度は、申請時に想定していたよりも、試薬等を使用するウェット実験よりもトランスクリプトームデータの解析等のドライ実験の割合が高くなり、試薬やプラスチック消耗品の新規購入を抑えられた。生じた未使用額は次年度使用額とし、次年度における物品費等として使用する。
|