2023 Fiscal Year Research-status Report
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23K06182
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
今 淳 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (60271798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井澤 弘美 青森県立保健大学, 健康科学部, 准教授 (20315534)
舘花 春佳 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (30805809)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 蒲黄 / 線維化 / 蒲 / 古事記 / 皮膚 |
Outline of Annual Research Achievements |
蒲黄は,線維化の原因であるⅠ型コラーゲン(col1a1,col1a2)の遺伝子発現を抑制し,逆に抗線維化能を有するデコリンの遺伝子発現を促進する。そこで,本年度は,蒲黄がこれらの遺伝子を転写レベルで調節しているか否か,その機構の詳細を目的として解析を行った。具体的には,各遺伝子の転写調節領域であるプロモーター領域の詳細な解析を行い,蒲黄が作用するプロモーター領域である応答配列の解析を行った。その結果,転写阻害剤のアクチノマイシンD或は5,6-ジクロロベンゾイミダゾール1-β-D-リボフラノシドでマウス線維芽細胞由来の3T3細胞を刺激して,次いで蒲黄で刺激すると,Ⅰ型コラーゲン遺伝子の発現抑制及びデコリン遺伝子の発現促進はいずれも消失し,各遺伝子は転写レベルで調節を受ける可能性が考えられた。そこで。各遺伝子のプロモーター領域をルシフェラーゼアッセイ等で解析し結果,col1a1遺伝子及びcol1a2は転写開始点(+1)から5000bp上流までの領域に転写を抑制する応答配列が存在する可能性が見出された。一方デコリンは2500bpまでの領域に転写を促進する応答配列が存在することが明らかになった。以上から蒲黄は各遺伝子のプロモーター領域の応答配列に作用して転写レベルで発現を制御していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各遺伝子のプロモーター領域に存在する蒲黄の応答配列の局在の同定に非常に時間が掛かっている。ルシフェラーゼアッセイで解析しているが,通常多くの遺伝子で存在する1000bp以内には存在し,容易に同定できるものと当初考えていたが,存在していない遺伝子が殆どであり,更なる上流及び下流の数キロ塩基対のプロモーター領域まで広げての解析を細目に行っており,そのために非常に時間を要していた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度である程度の応答配列の大まかな局在部位が見えてきたので,今後は更に領域を狭めるよう詳細に解析を行い,その同定及び応答配列に結合する転写因子の同定を行う。また同時にエピジェネティクスの解析も開始する。
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Causes of Carryover |
令和5年度は3種類の遺伝子のプロモーター領域を解析し,それぞれの蒲黄の応答配列を同定し,次いで各応答配列に結合する転写因子を同定する予定であった。しかしながら,応答配列の局在部位が,通常認められる範囲よりも数千塩基対はるかに上流に存在し,その領域に達するまでの解析に非常に時間が掛かった。そのため,応答配列に結合する転写因子の解析が十分に進まず,解析のための試薬分の残を生じた。令和6年度にはこの予算も使用し,更に迅速に解析を進める予定である。
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