2023 Fiscal Year Research-status Report
生薬オンジ由来化合物による抗メチル水銀作用機構の解明
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23K06183
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中村 亮介 北里大学, 薬学部, 助教 (50383659)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | メチル水銀 / 抗メチル水銀薬 / サポニン誘導体 / オンジエキス |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はオレアノール酸 (OA) のC3位にグルコースが結合したサポニン誘導体であるOA-3-グルコシド (OA3Glu) を抗メチル水銀活性を持つ化合物として見出している。 マウスにおいてメチル水銀による運動障害を複数の観点から評価するため、現在採用している四肢にかかる重量を測定するDynamic waight bearing test以外の評価手法について検討したところ、細い棒の上を渡る間に後足を踏み外す頻度を計測するBeam walking testによって、メチル水銀による運動障害を評価できると考えられた。マウスに週5回4週間にわたりOA3Gluおよびメチル水銀を経口投与し、Dynamic waight bearing testおよびBeam walking testによってOA3Gluの抗メチル水銀作用について検討したところ、どちらの試験においてもメチル水銀によって生じた運動機能障害をOA3Gluが軽減することが示された。 また、生薬オンジの含有成分であるオンジサポニン類の中に神経保護やオートファジー誘導といったメチル水銀毒性の軽減につながる可能性がある活性を持つ化合物があることから、オンジエキスが抗メチル水銀活性を持つ可能性があると考え、本年度にオンジエキスの抗メチル水銀効果についての検討に着手した。Beam walking testにおいて後肢機能を評価したところ、メチル水銀投与によって増加した後肢の踏み外しがオンジエキス投与によって減少したことから、オンジエキスはメチル水銀による運動障害を軽減させる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、1. オレアノール酸-3-グルコシド(OA3Glu)の抗メチル水銀作用機構の解析、2. オンジエキスによる抗メチル水銀作用の検討を主な目的としているが、本年度は、OA3Gluの抗メチル水銀作用に関する解析は当初の計画に比べて遅れている一方で、オンジエキスの抗メチル水銀活性の評価に着手し、オンジエキスに一定の抗メチル水銀効果を見出すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、1. オレアノール酸-3-グルコシド(OA3Glu)の抗メチル水銀作用機構の解析、2. オンジエキスによる抗メチル水銀作用の検討を並行して行っていく予定である。また、動物の系統によるメチル水銀感受性や抗メチル活性の違いについて考慮するため、複数の系統のマウスを用いて検証を進める。
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Causes of Carryover |
in vivoにおける行動の試験一部に低コストで行うことができる手法を採用し、想定よりも使用額が少なかったため。 次年度使用額は、マウスにおける系統差を考慮した複数系統において抗メチル水銀効果を検証する実験に使用する。
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